姿が見えてきたGeForce GTX 560

 ビデオカードメーカーは、ここ何年かは完全に2大メーカーの争いとなっている。
 そんな事は今更言うまでもない話で、今やこの2大メーカーを追い落とすメーカーは多分現れない。
 唯一追い落とす可能性のあるメーカーはIntelだが、そのIntelにしてもLarrabeeが2009年末に当面凍結(多少語弊があるかもしれない)という結論を出し、2010年にソフトウェア開発プラットフォームとしてリリースを予定していたが、その後そういったお達しがない。
 というわけで、自然と2大メーカーのビデオカードを大部分の人が選択する事となっている訳だが、昨年末にこの2大メーカーが新製品ラッシュをかけ、消費者が多分に迷う事が勃発していたのは、記憶に新しい話である。
 しかし、ハイエンド志向の人ならいざしらず、ミドルレンジやハイミドルを狙う人にとっては迷うラインナップだった事は否めない。
  2010年12月までに発売のビデオカードは、微細化プロセスが進展しない中での新製品だったため、どれも決定打に欠ける製品が並んだからである。
 今にして思うと、AMD(当時はまだATIブランド)のRadeon HD 5870&5850が相当に優秀なビデオカードだったと言わざるを得ない。特に5870はハイエンドにしてワットあたりのパフォーマンスが抜群で、ハイミドルの5850は5870以上にコストとワットあたりのパフォーマンスが優れていた。
 それら2製品を追い落とすビデオカードをNVIDIAが発売できていたか? というと微妙な話で、消費電力やコストを度外視すれば勝てる製品…というスタンスのものしか出すことができなかった。
 唯一GeForce GTX460がコストパフォーマンスに優れた製品だったが、これもDX 9やDX 10のアプリケーション性能はAMD製の同クラスGPUに勝てないという有様で、ハイミドル&ミドルレンジのバランス型ビデオカードはAMD製が完全優位だったと言える。
 そういう状況下で投下されただけに、2010年12月までの発売ビデオカードは決定打に欠ける製品が並んだのは仕方のない話だったのかもしれない。
 ただ、どちらのメーカーもよりワットあたりのパフォーマンスを改善した製品を投入しようという流れはあった。
 そしてその流れの中に姿を現さなかったビデオカードが、GeForce GTX 560(仮)である。


 GeForce GTX 560は、その名が示す通りGeForce GTX 460の後継GPUである。
 このGTX 460の位置づけは、正直私にはよくわからない。
 ミドルレンジを狙った製品である事は分かるのだが、GTX 470とGTX 460の差が結構広いのではないか? と感じているからだ(実際にはその穴を埋めるためにGTX 465という製品が存在した)。
 GTX 470は今やGTX 570に取って変わられているが、そのGTX 570はGTX 480とほぼ同等、それ以上のパフォーマンスを持っている。つまり、GTX 480の置き換えがGTX 570であり、GTX480の改良型であるGTX 580は完全にGTX 480を超えた存在として登場した。
 つまり、ハイエンド製品が軒並み上方へとスライドしたため、NVIDIAのミドルレンジ帯は今かなり空きがある状態に見える。
 そのど真ん中にGTX 560が登場する事になる訳だが、問題はこのGTX 560がどの程度のスペックなのか? という事になる。
 リークされている情報では、GTX 560はGF104の完全版とも言えるGF114コアを使用した製品で、8つ全てのStream Mutli-processor(SM)が有効になっている、と言われている。
 つまりCUDA core数は384、PolyMorph Engineは8個となり、メモリインターフェースはGTX 460 1GB版を踏襲し256-bit、搭載するメモリは4000MHz駆動のGDDR5が1GB搭載される。コア周波数は820MHzで、Shader周波数は1640MHzとなるようだ。
 このスペックで単純に考えると、その性能はGTX 460比で最大22%増となると考えられる。
 問題は、このGTX 460比22%増がどの程度の性能か? という事。
 これがGTX 570とどの程度の差となるのか?
 それによって、ミドルレンジやハイミドルを買いたいという消費者の食指が動くかが決まる。
 一応、今ネット上で言われているのは「Radeon HD 6870より少し上」という性能である。
 また、GF114もオーバークロック耐性が結構ありそうな感じであるため、OC品で「Radeon HD 6950に近い性能」になるのではないかという。
 ただ、Radeon系とは単純に性能比較が難しい部分があるのは今まで通りで、DX 9やDX 10性能は絶対的にRadeon系が有利であり、DX 11系はGeForce系が有利。つまり「Radeon HD 6870より少し上」というのが、どちらを言っているのかにもよる。
 あとは消費電力と価格だが、TDP180wで$250の価格帯と言われている(OC品だと多少価格は上がるだろうから、$280程度か?)。
 この数値を消費者側がどう考え、そして同判断するか?
 ミドルレンジやハイミドル製品は、単純な性能偏重主義やコスト最優先主義ではないため、このあたりの個人の基準に違いが出る。
 自分のベストを信じて選ぶしか最後はないわけだが、私はとりあえず発表されるであろう1月25日ぐらいまで待ってみたいと思っている。
 そこで見るべき性能で比較して、最良と思える製品を購入するか、それとも次世代品まで待つかを考えたいと思っている。
 まぁ、買わなきゃ買わないでどうにかなるのだが、そこはそれ、元パワーユーザーの悲しい習性が、どうしても出てしまうのである。
 私はどうせ今までGeForce GTX 475を待ち続けたのだから、あと1ヶ月もしないウチに見えてくるのを待つのは何の問題もない。
 私と同じようにミドルレンジやハイミドルが気になる人は、GeForce GTX 560が発表されるまで待った方がいいのではないだろうか?

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武上

18歳の時、人生の最大の選択ミスをしてしまい、いきついた場所として山梨県人となる。 その後、建設業に身を投じ、資格をいくつか取得するものの、結局自分の性格と合わない事を理由に上京。 上京後、世間で話題になりつつあったアニメ・ゲームを主体とする業界の人間となり、デジタルコンテンツ業界を含む数々の著名人と同じ土俵でマルチメディアな仕事をするに至る。 一見華やかなメディアの世界の、その闇の深さたるやハンパない事こそ世間に何となく知られてはいるが、業界人しか知らないその氷山の全体像を十分すぎるほど目の当たりにした後、家庭の事情で再び甲州へと帰還。 しかし、この帰還も人生の選択ミスだったかもしれないなぁ…と今では思うものの、時既に遅し。 今は地元の製造業を営む会社の総務・品質保証という地味ではあるものの堅実な職につき、いつか再びやってくるだろう夢の実現を信じて隠者的生活を送っている…ハズだったのだが、またしても周囲の事情で運命は波乱の様相を見せ始めた。 私の人生は一体どの方向を向いているというのだろうか? ちなみに筆者はPCとの付き合いはかなり長いと思っている。 古くはPC-8801 mk2 SR、X1 Turbo、X68000、FM-Towns、PC-9801シリーズ(互換機含む)、PowerMAC 9500等をリアルタイムで使い、その後は、Windows PCの自作機を中心に現在に続いている。 デジタルガジェットに関しては興味もある事から、その時代の時々において、いろいろ使ったり調べたりして、専門家ほどではないが知識は蓄えてきたと思っている。 そうした経験を元に、今の時代へ情報発信させてもらっている。少々くどい言い回しが多いかも知れないが、お付き合いいただけるとありがたい。 連絡先:takegami@angel-halo.com (@を小文字にしてください)

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