四十九日と納骨

 私が生まれた街、金沢。
 今や人口50万人を超えるまでに変貌したこの街は、私が知っている街とは言い難いほど変化している。
 まぁ…今更な話なワケだが。
 そんな金沢の外れの墓地に、父親の遺骨を納骨した。
 四十九日を超えたため、いよいよもって埋葬したのである。
 今回、私は初めてお墓の中というものを見た。
 お骨を納める所は案外狭いという事がわかった。まぁこれもお墓によるのだろうが。
 亡くなった人を埋葬するには埋葬許可証というものが必要になる。ようするに、不用意に人骨を埋めると、事件に発展するためである。墓地なんだから、人骨が出てきても不思議はない、と思うのだが、そういう手続きが必要になる。
 だが、この埋葬許可証が出ているタイミングでは、既に故人は戸籍上は除籍され、住民票も除籍扱いになっている。だから埋葬許可証が手元にある段階では、実際は骨がしかるべきところに埋葬されてしまえば、その埋葬許可証の取扱は微妙なものになってしまう。
 法律上では、この埋葬許可証が墓地の管理局に受理されてから、納骨という手順になっている。
 これは「墓地、埋葬等に関する法律」通称、墓地埋葬法という法律で定められている事で、その中で許可のない埋葬等を禁止すると定められている。
 だから、もし火葬した際にそうした許可証をもらっていない(通常ありえないが…)という事であれば、すぐに火葬場で再申請しなければならない。
 だが…実際問題、この埋葬許可証を墓地の管理局等に提出しなかったとして、お墓に納骨したとしても、それを誰がどうやって違法だと見つける事ができるだろうか?
 これがお墓でなく、どこかの山林だったとしたら、何らかのタイミングで事件として浮上するかもしれないが、墓地、しかもお墓の中である。もし、仮に骨が出てきたとしても「ここは墓地だから…」と誰もが思い、何ら事件性を感じる事はないのではないだろうか?
 そう考えると、何となくこの法律自体が形式でしかないようにしか思えない。
 …なんとも微妙な法律だな、と個人的には思ってしまう。
 何はともあれ、人が亡くなるという事は手続きの連続である。
 これは事件性のない事の証明であると同時に、戸籍上の手続きである。
 これらをクリアして、ようやく故人の手続きはすべて終了する事となる。まぁ、財産を持っていたらまだまだやる事は増えるワケだが。
 ウチはとりあえずコレで終了。
 ようやく一段落である。

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武上

18歳の時、人生の最大の選択ミスをしてしまい、いきついた場所として山梨県人となる。 その後、建設業に身を投じ、資格をいくつか取得するものの、結局自分の性格と合わない事を理由に上京。 上京後、世間で話題になりつつあったアニメ・ゲームを主体とする業界の人間となり、デジタルコンテンツ業界を含む数々の著名人と同じ土俵でマルチメディアな仕事をするに至る。 一見華やかなメディアの世界の、その闇の深さたるやハンパない事こそ世間に何となく知られてはいるが、業界人しか知らないその氷山の全体像を十分すぎるほど目の当たりにした後、家庭の事情で再び甲州へと帰還。 しかし、この帰還も人生の選択ミスだったかもしれないなぁ…と今では思うものの、時既に遅し。 今は地元の製造業を営む会社の総務・品質保証という地味ではあるものの堅実な職につき、いつか再びやってくるだろう夢の実現を信じて隠者的生活を送っている…ハズだったのだが、またしても周囲の事情で運命は波乱の様相を見せ始めた。 私の人生は一体どの方向を向いているというのだろうか? ちなみに筆者はPCとの付き合いはかなり長いと思っている。 古くはPC-8801 mk2 SR、X1 Turbo、X68000、FM-Towns、PC-9801シリーズ(互換機含む)、PowerMAC 9500等をリアルタイムで使い、その後は、Windows PCの自作機を中心に現在に続いている。 デジタルガジェットに関しては興味もある事から、その時代の時々において、いろいろ使ったり調べたりして、専門家ほどではないが知識は蓄えてきたと思っている。 そうした経験を元に、今の時代へ情報発信させてもらっている。少々くどい言い回しが多いかも知れないが、お付き合いいただけるとありがたい。 連絡先:takegami@angel-halo.com (@を小文字にしてください)

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