DSP版Windows7が単体発売

DSP版というOSが存在している事を知っている人は、何かしらの形で自作PCを知っている人だろうと思う。
DSPとは、Delivery Service Partnerの略で、元々はマシンに組み込む販売代理店向けのパッケージ。このDSP版を販売するには、マシンに組み込むか組み込むパーツとセットにする必要があるのだが…。

単体発売OKなら既にDSP版ではない?

1月11日から、秋葉原のPCパーツショップなどでDSP版Windows7の単体発売が始まっている。
ラインナップはUltimateとProfessional、Home Premiumの3種類で、それぞれ32bitと64bitが存在する。この辺りは従来のものと同じだ。
だが、決定的に違うのがパーツとの抱き合わせによる販売でなく、DSP版OSが単体で購入できるようになっているという事。
これは安く買えるようになったな、と思った人はちょっと残念。
今回、単体販売されたDSP版は、旧来のDSP版と異なる新型Windows7で、Windows8以降のOSと同等の条件で販売可能になったものである為、別物と捉える事ができる。それを証明するがの如く、単体販売価格がUltimateが2万円台前半、Professionalが2万円弱、Home Premiumが1万円台前半と、旧来の抱き合わせWindows7と同等か若干高く設定されている。
この価格は円安の影響もあるようだが、どちらにしてもリテールパッケージから比べれば格安なOSと言える。

だが、そもそもパーツと抱き合わせでないDSP版というのは、DSP版と言わないのでは…なんて思ったりもするのだが、Delivery Service Partnerの意味としては「販売代理店向け」というだけの言葉であるため、単体販売していても言葉が間違っている事にはならない。が、そもそも販売代理店向けのものが個人で買えてしまう事そのものに問題があるのは言う迄も無い。

単体販売のWindows7とWindows8/8.1

この単体販売版のWindows7が登場した事で、自作PCユーザーは3つのOSを選択できる事になる。
Windows7は自作PCユーザーの絶対的支持を受けているOSで、それは今でも変わらない。だからこの単体版Windows7が登場した事で、よりWindows7の売れ行きが良くなる事は間違いないと大部分の人は見ているようだ。
昨日の記事にも書いたが、デスクトップPC用途ではほとんどのケースでWindows8/8.1の恩恵は受けられない…というか、受けても意味がない。
たしかにWindows7よりWindows8系の方が内部処理は高速化されているのだが、SSDをストレージとして使う昨今では、HDDの時と比べてその速度差に大きな意味がない。だから自作PCユーザーはより従来のスタイルで使えるOSを優先するケースが多い。実際問題、私も同じである。
使い勝手として、Windows8シリーズで言うところのデスクトップを自作PCユーザーのほとんどはメインとして使っているハズで、モダンUI(メトロUI)をメインとして使っている自作PCユーザーはまずいないからだ。
だから、単体販売でWindows7が登場した段階で、自作PCユーザーはWindows8.1を選ぶよりはWindows7を選ぶ人が多いだろうし、売れ行きもその流れになっている…と秋葉原パーツショップ店員は言っているようだ。

ITmedia 古田雄介のアキバPickUp!
http://www.itmedia.co.jp/pcuser/articles/1401/14/news109.html

Windowsは他OSとどう棲み分けていくのか?

依然としてビジネスOSとしてWindowsは強い立場にいるのは間違いないが、Windows以外のOSの大部分は、アップデートそのものを無料化しているケースが多い。
もちろん、そこには無料にしても商売が成り立つ仕組みが他にちゃんとあるからだが、Windowsは未だ有料で提供されている。
有料提供でもユーザーが離れない。
この意味がMicrosoftを支えているのだが、それはMicrosoftがソフトメーカーであり、またそれが主産業だからの構造と言える。
AppleはMac OS Xのアップグレードを事実上無料化しているが、これはMacというハードを売っている事で無料化できていると言われている。iOSも同じだ。
だが、GoogleのAndroid OSや、Firefox OSなどは全く違ったビジネススタイルであり、Microsoftはそうした新興のOSメーカーと今後渡り合っていく上で、この有料のままのWindowsで果たして戦い続けられるかが問われているように私は思う。

というのは、Microsoftも自社でハードを発売したからである。
Surfaceシリーズは、MicrosoftがハードとOSを販売する形で成り立っている。正直、PCベンダーからしてみれば、価格的に対抗するのが難しいハズだ。商品の魅力で勝負するしかない…とはいっても、MS Office含めた価格で考えれば、圧倒的に不利だ。
自社でハードとOSを提供しているとなると、その形は自ずとAppleに似てくるのだが、Microsoftは未だAppleのようなインターネットストアを確立できていない。ここにビジネスの強弱があるわけだが、やっている事から考えるとAppleと肩を並べているわけで、ビジネスサイドからすれば、Microsoftが暴利をむさぼっていると見えても仕方が無い。
もし、Windowsから他OSへ切り替えられるのならば、切り替えたいと考える企業も多いのではないかと思う。
Windowsの弱さとは、そうしたMicrosoftが昨今の状況下でも過去と同じスタイルをとり続けている事に他ならない。変革できないのはWindowsを使い続ける企業だけでなく、当のMicrosoft自身でもある。

変わる事を歓迎すべきか?

Microsoftは今変わろうとしている。
その結果がWindows8シリーズであり、これ以降のWindowsは間違いなく変わっていく。
だが、このMicrosoftの変化を歓迎していないのが自作PCユーザーのように思えてならない。
Windows7が売れ続けている理由は、変化を歓迎していないからとしか思えないし、Windowsがタブレットやスマートフォンと同様のスタイルになる必要がない、と考えているからだと思う。
私も正直言えばタブレットのようにならなくてもいい、と思っている。
だが、そうした認識は、ユーザー体験で変わっていくかも知れない。
2 in 1のWindowsPCを使うようになると、そういう感覚になってくる可能性がある。

私が購入したVAIO Duo 13も2 in 1スタイルのUltrabookだが、タブレットモードをもっと活用できれば、かなり便利に使えそうな気がしないでもない。
残念な事に、私はまだモダンUIを全く活用していないため、そのユーザー体験に行き着いていないのだが、同じVAIO Duo 13を使用している人が普段はタブレットとして使用してガッツリ作業したいときにPCにできるというのは便利と言っていた。
たしかにそうなればかなり便利かもしれない。
丸一日稼働すればよいというのであればそれだけのバッテリーの保ちもあるし、ハイバネーション自体の速度もかなり早い。
そうしたユーザー体験が認識を変えていけば、Windows自体が大きく変革する可能性もあるが、ビジネスシーンで考えると、その大きな変革で効率を落とすとなるとなかなか受け入れられない。
Windowsは、まさに今この変化を受け入れられるか、受け入れられないかの瀬戸際にいると言えるのではないだろうか。

何はともあれ、DSP版のWindows7が単体発売になった。
価格的にパーツ抱き合わせのものと変わらないのだが、単体販売版は使うパーツの制限がないため、自由に使えるというメリットがある。
もしWindows7が欲しいというのなら、この新しい単体発売版を購入してみるのも良いかもしれない。
従来のようなPCとして使いたいなら、Windows7がオススメだ。

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武上

18歳の時、人生の最大の選択ミスをしてしまい、いきついた場所として山梨県人となる。 その後、建設業に身を投じ、資格をいくつか取得するものの、結局自分の性格と合わない事を理由に上京。 上京後、世間で話題になりつつあったアニメ・ゲームを主体とする業界の人間となり、デジタルコンテンツ業界を含む数々の著名人と同じ土俵でマルチメディアな仕事をするに至る。 一見華やかなメディアの世界の、その闇の深さたるやハンパない事こそ世間に何となく知られてはいるが、業界人しか知らないその氷山の全体像を十分すぎるほど目の当たりにした後、家庭の事情で再び甲州へと帰還。 しかし、この帰還も人生の選択ミスだったかもしれないなぁ…と今では思うものの、時既に遅し。 今は地元の製造業を営む会社の総務・品質保証という地味ではあるものの堅実な職につき、いつか再びやってくるだろう夢の実現を信じて隠者的生活を送っている…ハズだったのだが、またしても周囲の事情で運命は波乱の様相を見せ始めた。 私の人生は一体どの方向を向いているというのだろうか? ちなみに筆者はPCとの付き合いはかなり長いと思っている。 古くはPC-8801 mk2 SR、X1 Turbo、X68000、FM-Towns、PC-9801シリーズ(互換機含む)、PowerMAC 9500等をリアルタイムで使い、その後は、Windows PCの自作機を中心に現在に続いている。 デジタルガジェットに関しては興味もある事から、その時代の時々において、いろいろ使ったり調べたりして、専門家ほどではないが知識は蓄えてきたと思っている。 そうした経験を元に、今の時代へ情報発信させてもらっている。少々くどい言い回しが多いかも知れないが、お付き合いいただけるとありがたい。 連絡先:takegami@angel-halo.com (@を小文字にしてください)

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