現在、データ通信用として『IIJmio 高速モバイル/Dサービス』を契約し、そのSIMカードを第3世代iPadに入れて使用している。
その『IIJmio 高速モバイル/Dサービス』のサービス拡充として、音声通話可能なオプションが追加される。
その名はみおふぉん
MVNOによる音声通話サービスは、正直割高であるし万人にお勧めできるものではない。ところが自分からはほぼ電話をかけない、という人からすると、日本3大キャリアのスマホ契約では毎月の料金が高すぎて納得できない、という感じがするのも理解できる。
さらに、その条件に加えて、ネットに繋ぐ環境のほとんどがWi-Fiだ、となるとさらに納得できない事になる。LTEも使えるし、3Gも繋がる。でもデータ通信のほとんどはWi-Fiで、通話は極稀だ、となると、普通に契約しているだけで、毎月6,000円超の価格になってしまう。実際には、さらにそこからサービスとして値引きが行われるが、その値引きも登録から2年間ぐらいの間で切れてしまい、それ以降使おうと思ったなら値引きサービスのない状態で契約を続けるしかない。
つまり、ホントに一部の状況下でなければ、モバイルネットワークキャリアのサービスを享受しない人からすると、ただただ高い通信費を支払う事になるわけだ。
通信キャリアからすれば、一部のヘビーユーザーの帯域に対応するために、或いはエリア拡大の為に多大な費用を投じてインフラを整備しているのだから、それなりの価格を徴収しないとビジネスが成り立たないのかもしれないが、その価格の前提がヘビーユーザー基準に考えられている事が多い為、実際の使用状況と価格が釣り合わないという事が発生する。
ただ、ヘビーユーザーとの区切りが7GB/月というラインなワケで、その縛りを入れた時点で、本来ならもっと価格を見直しても良かったのかもしれない。
その価格差を逆手にとって、MVNOとして低価格に踏み切ったのがIIJ発の「みおふぉん」である。
低価格ではあるが、音声通話での割引サービスは一切ない。30秒につき20円(税抜)というちょっと割高なスタンダード価格が一つ用意されていて、それ以上でもそれ以下でもないという設定である。ただし、これは元々の基本料金が安いためであり、トータルで見ると価格はそれなりに抑えられると考えられる。何しろ、データ通信900円に音声通話オプション1,000円を追加した1,900円で開始できるのだから、使い方によっては従来キャリアのプランよりかなり格安で利用する事ができる。
バースト通信で体感速度は速い
IIJmioのMVNOサービスの最大の特徴はバースト通信にある。
通常、一番安い「ミニマムスタートプラン」で契約すると、月額は900円(税別)でデータ通信のみが可能になるのだが、その通信速度は200kbpsになる。一応、データ通信量500MBまでは下り最大150Mbps(LTE通信時)のクーポンを利用できるのだが、そのクーポン利用のスイッチをオフにしておくと200kbps通信になる。
ところが、この200kbps通信時でも、通信開始の最初の3秒は帯域制限がない状態になっている。つまり、3秒以内に通信が終了してしまうぐらいのデータなら、高速通信で通信そのものを終わらせてしまうという手法を採っている。
これが思いの外効果的で、使う側からするとものすごく高速に感じるのである。また、IIJ側もいつまでも回線帯域を占有されずに済む為、全体のトラフィックのコントロールにも役立っているという。
また、この「ミニマムスタートプラン」の高速通信データ量500MBは、2014年4月1日より1GBへと増量される。
ミニマム、と言っているが、私のような使い方だと既にミニマムになっていないという充実ぶりである。
他にも、SIMカードを3枚提供し、家族で3GBという高速データ通信をシェアできる「ファミリーシェアプラン」(月額3,560円~)というのもある。このプランは音声通話も含まれているため、家族同士でメールのやり取りが中心で、かつ音声通話はあまり使わないという家庭なら3人分の通信費が3,560円超で済んでしまう。家族通話割引とかそういうのは一切ないが、基本料金を切り詰め、使った分だけ支払うというスタンスで考えるなら、十分検討できるプランではないかと思う。
MNPにも対応する
「みおふぉん」は2014年4月中旬から、MNPに対応する予定のようだ。
さらに、緊急通報にも対応するという、従来のキャリアと同程度のサービスを展開していくという事だが、残念ながらキャッチホンと留守番電話のサービスは利用できない。
また国際電話に関しても通話は割高ながら対応する。但し、海外でのデータ通信の国際ローミングには対応しない。
何が出来て、何が出来ないかは、実際に加入する際に確認した方が良いかもしれないが、少なくとも日本国内でのみ利用する場合で大きく困るという事はないだろう。
それよりも、MNPに対応する事で、所謂モバイル機器の「1台目」になれる事の方が大きいだろう。
電話番号が変わってしまうというのは、今まで使ってきた関係から抵抗がある、という人でも、MNPで番号が変わらず利用できるとなると、その敷居はぐっと低くなる。
価格も合わせて考えて、乗り換えるに十分魅力のある商品と言えるだろう。
但し、こうした良い面もあるが、マイナスな面ももちろんある。
まず法令に従った本人確認が必要であり、申し込み時に本人確認書類をネット上でアップロードし、転送不可の書類としてSIMカードを受け取るという流れになる。また、店頭で購入したパッケージであっても、申し込みと本人確認はWebサイト上で行う事となり、実際に申し込んでからSIMカードが到着するまで、7~10日を要する事になる。
またMNPによる転入についても、手続きがMVNO側で行われてからSIMカードの発送となるため、輸送期間である1~2日間は対象の電話番号(の入ったSIMカード)を利用できない期間が発生する。このタイムラグは現状ではどうする事もできないようだ。
また、これはマイナス面と正確に言えるかはわからないが、最低利用期間は1ヶ月となり、1年縛りが適用される。もし1年以内に解約という事になれば、そこで解除調停金が発生する事となり、1年内の残月×1,000円が必要となる。
まぁ…3大キャリアだと2年縛りだから、そこから比較するとマイナス面というよりはメリットになるのかもしれないが、データ通信プランのみの場合は最低利用期間が1ヶ月というだけで、それ以外の縛りルールがない為、それと比較すればマイナスという事になる。
総合的にみて、ほとんどのデータ通信をWi-Fiで行っていて、通話そのものをあまりしない人であれば、今回の「みおふぉん」は最適なプランになるかもしれない。
ただ、この「みおふぉん」の最大の問題になるのは、使える端末がSIMロックフリー端末でないといけないという事だ。しかもSIMロックフリー端末はいろんな面でキャリアがロックしている端末と比較して優遇されない事情もある。
そういう、すべて自己責任という枠組みで運用できる事が一つの条件になるため、そういう条件を呑んでも格安を目指したい、という人にしかお勧めする事ができない。
単純に言えば、IIJなどMVNOを提供している通信事業者とSIMロックフリー端末を扱うメーカー(もしくは業者)がタッグを組んで端末の定期用から対応してくれるようであれば、もっと敷居は下がるのかもしれないが、日本の現状ではそういう土壌がないため、まだまだ敷居は高いものと思われる。
我こそはと思われる方はぜひトライしてみてほしい。
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