マクロレンズを考える

Panasonicから発売されたm4/3用30mm F2.8マクロレンズを考える。

そもそもマクロレンズって何よ?

レンズにもいろいろ種類があるが、良く聞くものはズームレンズ、単焦点レンズというもの。これは単に焦点距離を変えられるものがズームレンズで、固定になるのが単焦点レンズという違い。
そしてそのズームレンズや単焦点レンズの中でも、標準レンズと呼ばれるものが大体焦点距離が30mm前後から60mm前後のもので、それより焦点距離が近ければ(15mmとか20mmとか)広角レンズ、焦点距離が85mmとか90mmとかだと中望遠レンズ、150mmとか300mmだと望遠レンズと、焦点距離によって分類されていく。もちろんこれらから外れた焦点距離のレンズなどは、超広角レンズとか超望遠とか呼ばれたりするレンズではあるが、それも基本的には焦点距離での分類に違いはない。
次に映り方によって変わるレンズもあり、例えば魚眼(フィッシュアイ)レンズはわざと歪曲させたままで広い範囲を撮影できるレンズだったりする。
こういう魚眼レンズのような特殊なレンズの仲間…と言えるかどうかは解らないが、分類的に焦点距離とは違う分類のレンズに「マクロレンズ」というものがある。
マクロレンズとは被写体を大きく撮影できるレンズの事で、ファインダーから覗く像もかなり大きく見えるレンズである。

望遠レンズとマクロレンズの違い

見えるモノが大きく写るレンズ…と聞くと、望遠レンズも大きく見えるよね? と思う人もいるかもしれない。実際、望遠レンズのファインダー像は大きく見えるものであり、マクロレンズとの違いに迷う人も多いかも知れない。
だが、明確に望遠レンズとマクロレンズは違うものであり、間違っても代用などできるものではない。
そもそも、望遠レンズとは遠くの被写体を写す事ができるレンズの事である。焦点距離が非常に遠いので、被写体の近くまで行かなくても遠くにあるものが撮影できるレンズである。
その望遠レンズで近くのものを撮影しようとすると、ピントが合ってしまう事もあって、その時はファインダーでも被写体が非常に大きく見えていて、マクロレンズのように感じられる時もある。しかし、それはファインダー内で被写体を大きく写しているだけであって焦点距離は明らかに違う所で結像している。だからホントの意味でピントが合っていない。
しかしマクロレンズというのは、そもそも被写体に寄れるレンズであり、焦点距離が短くても被写体を大きく写す事のできるレンズを言う。何だかややこしい話に聞こえるかもしれないが、標準レンズのマクロレンズとなると、例えば焦点距離が50mmでも被写体がとてつもなく大きく撮影が出来るのである。つまり、焦点距離50mmの所でちゃんと結像していて、その結像した像がとてつもなく大きく写るのである。
撮影倍率、という言葉でその像の大きさを表すのだが、例えば普通のレンズはこの撮影倍率が0.3とか0.25とかそんな値になる。つまり、センサー上で撮影している被写体が実際の大きさよりも0.3倍などの大きさで撮影される、という事である。
ところがマクロレンズはこの撮影倍率が最低でも0.5、良いものになると等倍(1倍)、もしくはそれ以上の大きさで写るのである。
望遠レンズだって基本的にはこの撮影倍率は0.3とかその程度であり、決してその実サイズと比較すれば大きく写るわけではないのである。
これが望遠レンズとマクロレンズの最大の違いである。実物と同等の大きさで撮影するとなると、マクロレンズでないとできない、というワケである。

マクロレンズも一本欲しいところ

そんなマクロレンズだが、実の所私も1本は欲しいレンズと思っている。
今まであまり意識してこなかったのは、私が持つ神レンズ“M.ZUIKO DIGITAL ED 12-40mm F2.8 PRO”が、撮影倍率0.6倍(35mm判換算値)という、普通のレンズにしておくにはもったいないぐらいの撮影倍率を持ったレンズであった為、あまりマクロ撮影を強く意識した事がなかったからである。
撮影倍率0.6倍もあれば、ブツ撮りに使うにしても結構重宝して使えるし、実際の運用としてもマクロレンズ並に使えてしまう為、本当に重宝するのである。
しかし、本当の意味で被写体を大きく写したいと思えば、やはりマクロレンズは欲しいところであり、m4/3用のマクロレンズともなると、レンズの仕様では最大撮影倍率が1.0倍、つまり等倍と記載されていても、35mm判換算となると2.0倍と、実物より2倍の大きさで撮影が出来るわけで、非常に細かい部分まで撮影する事ができるワケである。
だから本当はマクロレンズも欲しいのだが、マクロレンズは決して安くはない。
最低でも5万円とかそんな価格になるのが幕ロレンスであり、ちょっと良いものとなると10万円クラスは当たり前なレンズだったりする。
なので今までなかなか手が出せないなぁ…と思っていたのだが、Panasonicから30mm F2.8のマクロレンズが登場し、しかもこのレンズが店頭では4万円強の価格で販売されているというのだから、心揺れまくりである。
しかも、レンズとしての評判もよく、非常に使い勝手の良いレンズというから悩ましい。
うーん、これは困った。

ホントはリニューアル待ち

ただ、実は私はずっと考えていた事があり、本当はOLYMPUSから中望遠、つまり90mm程度のプレミアム品質のマクロレンズの登場を待ちわびているのだが、もしそれがダメだったとするならば、同じPanasonicから“LEICA DG MACRO-ELMARIT 45mm / F2.8 ASPH. / MEGA O.I.S.”のリニューアル版が登場しないかな、と考えていたりしていたのである。
Leica銘のレンズという事もあって、このレンズも素晴らしい解像感を持つレンズなワケだが、値段はともかく残念なところが多いレンズだったりする。
映りそのものは良いのだが、使い勝手の部分で問題があるワケである。しかし、この“LEICA DG MACRO-ELMARIT 45mm / F2.8 ASPH. / MEGA O.I.S.”はm4/3規格が立ち上がった黎明期のレンズであるため、そう遠くない内にリニューアルする可能性があるな、と思っていたのである。
その矢先にLUMIX銘の30mm F2.8 マクロが登場したわけで、実に悩ましい。
リニューアル版は登場しない、という事なのだろうか?

m4/3規格も立ち上がって数年が経過したわけで、そろそろ初期に登場したレンズはリニューアル期に来ていると思う。
当初は研究もそんなに進んでいなかったワケで、今ならもっと性能を良くする事も可能ではないかと思えるだけに、こうした銘玉のリニューアルはもっとあっても良いと思っている。
繰り返すが、本当はOLYMPUSから理想的なマクロレンズか登場するのが望ましいのである。登場するならそちらをもちろん検討するのだが、あまり話も聞かないので、既存品のリニューアルという方向に活路を見出そう、というだけの事である。
まぁ…実際にはメーカーから発売されるとかいう情報も皆無なわけで、がっかりなワケだが、パナさんもそろそろそういう意識もってくれませんかねぇ…。まぁ、OLYMPUSが頑張ってくれれば一番イイんですが…。

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武上

18歳の時、人生の最大の選択ミスをしてしまい、いきついた場所として山梨県人となる。 その後、建設業に身を投じ、資格をいくつか取得するものの、結局自分の性格と合わない事を理由に上京。 上京後、世間で話題になりつつあったアニメ・ゲームを主体とする業界の人間となり、デジタルコンテンツ業界を含む数々の著名人と同じ土俵でマルチメディアな仕事をするに至る。 一見華やかなメディアの世界の、その闇の深さたるやハンパない事こそ世間に何となく知られてはいるが、業界人しか知らないその氷山の全体像を十分すぎるほど目の当たりにした後、家庭の事情で再び甲州へと帰還。 しかし、この帰還も人生の選択ミスだったかもしれないなぁ…と今では思うものの、時既に遅し。 今は地元の製造業を営む会社の総務・品質保証という地味ではあるものの堅実な職につき、いつか再びやってくるだろう夢の実現を信じて隠者的生活を送っている…ハズだったのだが、またしても周囲の事情で運命は波乱の様相を見せ始めた。 私の人生は一体どの方向を向いているというのだろうか? ちなみに筆者はPCとの付き合いはかなり長いと思っている。 古くはPC-8801 mk2 SR、X1 Turbo、X68000、FM-Towns、PC-9801シリーズ(互換機含む)、PowerMAC 9500等をリアルタイムで使い、その後は、Windows PCの自作機を中心に現在に続いている。 デジタルガジェットに関しては興味もある事から、その時代の時々において、いろいろ使ったり調べたりして、専門家ほどではないが知識は蓄えてきたと思っている。 そうした経験を元に、今の時代へ情報発信させてもらっている。少々くどい言い回しが多いかも知れないが、お付き合いいただけるとありがたい。 連絡先:takegami@angel-halo.com (@を小文字にしてください)

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4 Responses

  1. ruser より:

    30mmマクロ、店頭で試写しました。
    あれは良いものだ…

    マクロなんで解像度は非常に高いし、ガッツリ寄って撮れるので狭い場所でも楽に撮れそうです。
    鏡筒の質感はそこそこだけど、軽くて小さい。
    長さはややあるけどそれでもかなり小型のレンズ。
    何より驚いたのは、繰り出し量の多いマクロレンズなのにインナーフォーカスな事。
    長さが変わらないから使い勝手は良さそうです。
    近寄り難い被写体(逃げてしまう昆虫とか)を撮るなら、ワーキングディスタンスの長い60mmマクロ(OLYMPUS)の方が良さそうですが、ブツ撮り等は断然30mmの方が使い易そうです。
    価格も安いので、久々にPROレンズ以外で欲しいなと思えるレンズです。

    …えっ? 悩んでる?

    それはきっと、「いつ買うか」を悩んでいるだけなのでは?(爆)

    • アバター画像 武上 より:

      実売価格で比べると、45mm F2.8のLeica銘レンズが2万円差ぐらいであるんですよ。
      ただ、問題はこのLeica銘レンズはm4/3黎明期のレンズだという事で…こいつのリニューアルがあれば、ソッチの方が良いかなぁ…と。
      ま、リニューアルが入ると、価格はまた上がるんですけどね。

      個人的に焦点距離が85mmとか90mmあたりが良いと思っているので、それだけに悩みます。

  2. ruser より:

    m4/3はマクロの選択肢が少ないのが残念ですよね。
    武上さんの場合は撮影倍率0.3(換算0.6)もある標準ズームがあるので、範囲内の焦点距離のマクロが選択しにくそうですね。
    余りにも汎用性と光学性能が高い弊害(?)でしょうかw
    私もマクロを考えていた時期があったので調べた事があるんですが、その当時のm4/3マクロはオリ60mmとパナ45mmのみ。

    60mmは細く長く、小型ボディに着けると見た目は微妙…(^_^;)
    ただ、解像度は凄く良かった。
    換算120mmは汎用的では無いですが、こっちの方が気に入りました。
    Kマウントで換算153mmのマクロを使っていますが、屋外で撮るときはワーキングディスタンスの長いレンズの方が使い易いと感じてます。

    45mmはエルマリットの名を持っているだけに期待したんですが、まずプラスチッキーな鏡筒で萎えましたw
    初期のパナレンズは安っぽい見た目が多いのが今一ですね。
    性能は良いと思うんですが、見た目と価格を比べると60mmの方が良いかなと思いました。

    そんな所に30mmマクロが登場した訳ですが、テーブルフォト用途が多い人なら買いのレンズじゃないかと思ってます。
    武上さんの場合は12-40があるんで悩ましいですがw

    そうそう、E-M1ユーザーならアダプター買ってフォーサーズのレンズを探すのも手かも?

    • アバター画像 武上 より:

      ワーキングディスタンスの事を考えれば、確かに焦点距離が短いマクロレンズより長いマクロレンズの方が採りやすいかも知れない。
      でも流石に35mm判換算120mmという焦点距離は自分としては扱いにくい。やはり60mm~90mm程度でのマクロレンズが良いなぁと思うワケで。

      それと、フォーサーズシステムのレンズというのも実は考えたは考えたのですが、50mm F2.0という良いレンズを見つけたはいいのですが、コイツは最大撮影倍率が1.0ではないので、12-40mmでそのまま使っていけばよいかな? と思ったり。

      良い結論がでませんな(-_-;)

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