GPU高騰の不思議

発表時の価格から比べて倍ぐらいの値段になっている不思議。

品薄が元凶なのか?

昨年から続いている半導体不足は、何も自動車産業だけが影響を受けているわけではない事は、当Blogに訪れている人であれば理解されていると思う。
PS5やXbox Series X/S、AMD製CPUやGPU、NVIDIA製GPUも間違いなく影響を受けているし、おそらく製造工場が異なるIntel製の半導体も影響を受けているだろうと思う。
これら半導体不足から、なかなか供給されないという事実はまぁ理解できるとして、どうしても理解が出来ない事が一つある。
それはGPUだけが何故か価格が高騰したまま元に戻らないという事である。
PS5やXbox Series X/Sに使われているAPUは、おそらくソニーやMicrosoftに販売されている価格そのものは変わっていないだろうと予測する事しかできないが、これらは供給量が追いついていない関係から転売価格に悩まされる事はある。だが、それらはメーカーが意図的に価格上昇させているわけではないので、価格が高騰している理由は事情がちょっと異なる。
一方、自作PC市場でのCPU価格は、これも製品発表時の価格から大きく外れてはいない。AMD製CPUは、値動きが一切ない事はあっても、堅調の価格は維持されている。
しかし、何故かGPUだけは当初の発表価格より実際に市場で販売されている価格が異常なまでに上昇し、それが依然として変わっていない。
おそらくこれはNVIDIA製もAMD製も同じだろうと思うが、ハイエンドクラスと言われているGeForce RTX 3090系や3080系、Radeon 6900XTや6800XTなど、当初の価格の2倍ぐらい(或いは1.5倍程度か)に膨れあがり、何故か後発のランク下GPUの価格がちょうど一つ上のランクの価格で販売されている。
ここでは私が理解しやすいAMD製GPUで考えていきたい(他サイトではNVIDIA製が圧倒的多数だと思うので…)。

発表時は…

現世代のAMDビデオカード最高峰のRadeon RX6900XTだが、国内販売がスタートしたのは2020年12月11日となっている。
その時の店頭価格は、税別で129,800円、税込でも142,780円という価格だった。
で、現在の価格はというと、メーカーによって価格は異なるのだが、一番安いモデルであっても192,800円(税込)と、1.35倍、高いモデルだと248,000円(税込)と実に1.73倍にまで価格が高騰している。
6900XTの価格推移グラフまた、一つ下のモデルになるRadeon RX6800XTは、2020年11月20日には国内の店頭でも販売が開始されていて、その時の価格は87,980円(税込)~94,380円(税込)、という価格だった。
で、現在の価格はというと、一番安いモデルであっても164,450円(税込)と一番安いモデルでの比率で1.87倍、高いモデルで182,028円(税込)と1.93倍ほどに高騰している。
その下のモデルであるRadeon RX6700XTは、発売当初から77,000円(税込)~112,800円(税込)と、当初から価格が高めに設定されている。
これは発売が始まった時期が2021年3月と上位2モデルよりも3~4ヶ月遅かった、という事が理由と考えられるが、この3~4ヶ月の間に、GPUの価格設定の基準値が大きく変わったと言わざるを得ない。
モノがないから価格が高騰する、という市場原理は理解するが、元に戻らないほど品物がない、という事が、今も続いているから、価格が元に戻らないのだろうか?
問題は、もし価格が元に戻ったとしたら、上位モデルであるRadeon RX6800XTと6700XTとの価格差が1~2万円程度、場合によっては逆転現象が起きる可能性もあるわけで、6700XTの価格を見る限り、もう6800XT等の価格は元には戻す気が無い、としか考えようがない。
全く以て酷い話である。

価格の適正化はあるのか?

この価格問題は、圧倒的半導体不足から市場に製品がない、というところから来ているというのは理解出来るが、コロナの終息と共にこれら生産体制の是正は行われ、いつかは潤沢に製品が並ぶ事になると思う。
その時、メーカーは価格改定を行うのか?
それとも今の高騰した価格を基準としてGPU価格そのものの全体的な底上げに向かうのか、この辺りは定かではない。
ただ、ライバルであるNVIDIAでも似たような価格高騰推移があるので、市場として簡単に安くなるとは考えにくい。
最悪は、今の高騰した価格が今後の基準となって、これから出てくるGPUは上位モデルは10万円半ばになり、最高峰モデルは最低20万円クラスになる、という状況が当たり前になる事である。
昨年の11月頃、AMDは少なくともRX6800XTを9万円程度で販売してもメーカーとしては問題がないと判断していたハズである。であるなら、これが適正価格という事になるが、今後はこの適正基準そのものが変わってしまい、ハイエンド製品はユーザーの手に届きにくい価格が当たり前になってしまったら、それはそれでグラフィック市場の衰退に繋がるような気がする。

とりあえず、今はこの状況が変わる事はないので、今後の値動きを見つつ、次世代製品がどのような価格設定になるのかを注視したい。
元に戻ってくれないかなぁ。

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武上

18歳の時、人生の最大の選択ミスをしてしまい、いきついた場所として山梨県人となる。 その後、建設業に身を投じ、資格をいくつか取得するものの、結局自分の性格と合わない事を理由に上京。 上京後、世間で話題になりつつあったアニメ・ゲームを主体とする業界の人間となり、デジタルコンテンツ業界を含む数々の著名人と同じ土俵でマルチメディアな仕事をするに至る。 一見華やかなメディアの世界の、その闇の深さたるやハンパない事こそ世間に何となく知られてはいるが、業界人しか知らないその氷山の全体像を十分すぎるほど目の当たりにした後、家庭の事情で再び甲州へと帰還。 しかし、この帰還も人生の選択ミスだったかもしれないなぁ…と今では思うものの、時既に遅し。 今は地元の製造業を営む会社の総務・品質保証という地味ではあるものの堅実な職につき、いつか再びやってくるだろう夢の実現を信じて隠者的生活を送っている…ハズだったのだが、またしても周囲の事情で運命は波乱の様相を見せ始めた。 私の人生は一体どの方向を向いているというのだろうか? ちなみに筆者はPCとの付き合いはかなり長いと思っている。 古くはPC-8801 mk2 SR、X1 Turbo、X68000、FM-Towns、PC-9801シリーズ(互換機含む)、PowerMAC 9500等をリアルタイムで使い、その後は、Windows PCの自作機を中心に現在に続いている。 デジタルガジェットに関しては興味もある事から、その時代の時々において、いろいろ使ったり調べたりして、専門家ほどではないが知識は蓄えてきたと思っている。 そうした経験を元に、今の時代へ情報発信させてもらっている。少々くどい言い回しが多いかも知れないが、お付き合いいただけるとありがたい。 連絡先:takegami@angel-halo.com (@を小文字にしてください)

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