Switch版「十三機兵防衛圏」

コイツもSwitchで完全版か?

名作、再び

2019年11月末、PlayStation4で発売された「十三機兵防衛圏」というタイトルがある。
ATLAS×ヴァニラウェアが世に送り出した作品として、オーディンスフィア レイヴスラシルやドラゴンズクラウン・プロと同じ流れを組むタイトルなのだが、そのジャンルはアクションではなく、アドベンチャー&シミュレーションという形の作品である。
当Blogでも記事は何度か書いたことがあるが、個人的に問題点も感じつつも名作と感じた作品である。
今年最大の個人的ヒット作本作の一番のウリは、何と言っても1980年代を想起させる時代設定である。もちろん、この1980年代だけでなく、時代はいくつも変化していくわけだが、その時代の見せ方などが実に巧みで、アドベンチャーパートは観ているだけで面白いという作品である。
ちょっとしたお色気シーンも…複雑にからみ合う謎も、13人いる主人公たちの出自に絡み、徐々に明らかになっていくもので、ストーリーだけでなく、クリアしていく話から解放される設定が見えてきて初めてわかるものがあるなど、実に巧妙につくられている。
アンロック条件に引っかかるまで突き進む唯一、私がモチベーションを維持できなかったのがシミュレーションパートで、もう少し見た目に派手さというか、わかりやすさというか、表現の工夫が欲しかった、というのがあるが、普通にシミュレーションゲームとして考えた時には、そんなに悪い出来でもない。
もう少し戦闘の雰囲気がしっくりしていれば…珍しくメカもののタイトルなので、個人的にはアーマードコア5のような演出だと最高と思ったりもしたが、そんな事をしたら開発費がいくらかかるんだ、という事になってしまう。なので、コレはコレで良いのだと思う。
そういった部分を差し引きしても、本作はとても面白い。
平成生まれの人にはどのように映るのか、とても気になる作品ではあるが、そういった時代性ふくめて革新的ではないかと思う。
そんな「十三機兵防衛圏」のSwitch版が発売される。DLCなどを全て盛り込んで価格は安いという、他にも聞いた事があるような商売の仕方である。

Switch版

まず発売日は2022年4月14日で、価格は7,678円(税込)になる。価格だけみても安いと思うが、前述したとおり、最初からフルパッケージとなっている。
また、ダウンロード版とパッケージ版の2種類が発売され、価格差はない。パッケージ版は描き下ろしリバーシブルタイプとなっているのが唯一の違いである。内容的にはダウンロード版とパッケージ版に違いはない。
だが、PlayStation4版とSwitch版では、ゲーム内要素にも追加が施されているので、違いが存在する。
それは、ゲーム内の崩壊編に登場する機兵の兵装に関して、主人公一人につき2種類の兵装が追加されている、という事である。この追加兵装は、主人公毎に一部共通兵装となっている場合もあるが、選ぶ要素として2種類追加されているという事に意味がある。
前述に、私がシミュレーションパートのモチベーションを維持できなかった、と書いたが、この兵装2種の追加によって印象が変わる可能性がある。よりやり込める内容になった、と考えれば、実にSwitch版はお得だと言えるだろう。
もう一つの内容的な相違は、英語音声が収録されているという事。
基本的にフルボイス仕様のタイトルなのだが、今までは日本語のみのボイス収録だった。それに英語が加わる事で、海外の人でも楽しめるようになった。これは販売数に期待したいところである。
このように、PS4版と比べてみても強化された同タイトルだが、価格はPS4と比較して安く設定されている。

IPとしての十三機兵防衛圏

IP、つまりIntellectual Property(知的財産)という言葉は、アニメやマンガの版権でよく使われる言葉ではあるが、昨今ではゲームタイトルでも使われたりする言葉である。
ゲームも著作物という枠組みに入れて考えるのが当たり前の時代になり、ゲームに登場するキャラクターを使用したアイテム化商売などが活発化した事で、IPという言葉が非常に使われるようになった。
ちょっとしたお色気シーンも…十三機兵防衛圏も、書籍も発売されているし、キャラクターのフィギュアなどの発売もされている。登場するキャラクターの魅力としては、IPとしてもっと活用されて然るべきタイトルと思うのだが、今まではちょっと伸び悩んでいるところがあるように思われる。
このタイトルは、魅せ方ひとつでとても大きなIPになるような気がしてならないのだが、今回のSwitch版の登場で、そうした認知度が今より向上する事はありうるだろうか?

コンテンツの使い捨ては良くないのでは…

最近はコンテンツの消費が恐ろしく早く、次々と新しいものが作られては消えていくというものが多いのが特徴で、その中でも特に光るコンテンツだけが、延々と生き延びる長寿IPとして君臨する。
もちろん、長寿IPにはそれになるための意味や理由があるのだが、そこに至らない作品は次々と登場する新規IPに塗り替えられてしまっている。
趣味の多様化がそうしたIPサイクルの加速を生み出しているのだが、中にはもっと展開してもよいと思えるタイトルがあるのも事実で、そうしたタイトルが掘り起こされる事はとても大きな意味を持つと私は思っている。
こうした背景には、情報過多という問題がかならずついて回るのだが、この流れは止めようがないので、掘り起こしという行為をどれだけ起こすか、という事がコンテンツ消費を抑える最大の効果ではないかと思う。

というわけで、十三機兵防衛圏である。
Switch版の登場で、再びコンテンツが再燃する事を期待したいと思う。

十三機兵防衛圏 Switch版
https://13sar.jp/switch/

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武上

18歳の時、人生の最大の選択ミスをしてしまい、いきついた場所として山梨県人となる。 その後、建設業に身を投じ、資格をいくつか取得するものの、結局自分の性格と合わない事を理由に上京。 上京後、世間で話題になりつつあったアニメ・ゲームを主体とする業界の人間となり、デジタルコンテンツ業界を含む数々の著名人と同じ土俵でマルチメディアな仕事をするに至る。 一見華やかなメディアの世界の、その闇の深さたるやハンパない事こそ世間に何となく知られてはいるが、業界人しか知らないその氷山の全体像を十分すぎるほど目の当たりにした後、家庭の事情で再び甲州へと帰還。 しかし、この帰還も人生の選択ミスだったかもしれないなぁ…と今では思うものの、時既に遅し。 今は地元の製造業を営む会社の総務・品質保証という地味ではあるものの堅実な職につき、いつか再びやってくるだろう夢の実現を信じて隠者的生活を送っている…ハズだったのだが、またしても周囲の事情で運命は波乱の様相を見せ始めた。 私の人生は一体どの方向を向いているというのだろうか? ちなみに筆者はPCとの付き合いはかなり長いと思っている。 古くはPC-8801 mk2 SR、X1 Turbo、X68000、FM-Towns、PC-9801シリーズ(互換機含む)、PowerMAC 9500等をリアルタイムで使い、その後は、Windows PCの自作機を中心に現在に続いている。 デジタルガジェットに関しては興味もある事から、その時代の時々において、いろいろ使ったり調べたりして、専門家ほどではないが知識は蓄えてきたと思っている。 そうした経験を元に、今の時代へ情報発信させてもらっている。少々くどい言い回しが多いかも知れないが、お付き合いいただけるとありがたい。 連絡先:takegami@angel-halo.com (@を小文字にしてください)

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