来るのか? あの名作が。
まだ公開商標の情報
商標ウォッチによると、本日の公開商標公報の情報として「Tactics Ogre: Reborn」が出願されたと報じた。
出願日は3月31日で、出願人はスクウェア・エニックスである。
商標ウォッチ
https://chizai-watch.com/t/2022037087?h=1
「Tactics Ogre:タクティクスオウガ」は、現ALGEBRA FACTORY社長の松野泰己氏が手がけた壮大なオウガバトルサーガの第7章に位置付けられている作品で、オウガバトルサーガは第1章から第8章にまでまたがるストーリーとされている。
第一作目のタイトルは「伝説のオウガバトル」と題されたもので、スーパーファミコンで発売された。オウガバトルサーガとしては第5章に当たるストーリーを追っていく内容で、ゲームシステムはリアルタイムストラテジーシミュレーションだった。
だが「タクティクスオウガ」はストーリーラインこそオウガバトルサーガだが、ゲームシステムは全く異なり、シミュレーションRPGとして作られている。
ヴァレリア島という島全体がエリアになるが、その各拠点はクォータービューで表現され、マップ上に、各キャラクターが配置、一進一退の戦闘を繰り返していくという流れである。
面白いのは、高低差を活かした戦闘ができる事、戦闘方法によっては障害物を飛び越える事などがある。要するに、高い所から下りる事は可能でも、低いところから高いところに行く事はできない、とか、正面に障害物があるので、銃器では攻撃が阻害されるが、弓であれば弧を描いて矢が飛ぶので攻撃できる、などの工夫がある。
私個人としては、タクティクスオウガは史上最高の作品と思っているので、どういった形でもリメイク、リテイクされる事は歓迎ではあるが、どういった形で再生するのかは非常にきになるところ。
また、それにあたって松野氏がどのように関わるのかも気になる。
ムービーを使わないイベント
タクティクスオウガの最大の特徴であり、私がもっとも絶賛しているのは、タクティクスオウガのイベントが等身大のキャラクターで行われる事である。
クォータービューのマップを移動するキャラクターが、動き回り、通常の戦闘シーンでは見せない動きをしながらイベント劇を進めていくというところが非常に凝っていて、安易にキャラクターの等身を変えてムービーでイベントを見せるゲームと一線を画するのはスゴイ所だと思っている。
タクティクスオウガが発売された後、スーパーファミコンからPlayStationへとゲームのプラットフォームが移り変わっていく中で、RPGのイベントは次々とムービーを差し込んで見せるというスタイルへと移り変わっていった。
今までゲームでは3等身くらいのキャラクターがちょこまか動いていたのに、イベントシーンになると普通に7等身くらいのキャラクターがイベントで登場する、といった、実に違和感しか生まない事は、タクティクスオウガではあり得なかった。
これは実際にプレイしてもらわないと中々伝わらない内容なのだが、常に同じ等身のキャラクターがドラマを展開していく様は、実にリアルで、逆に生々しく感じた。
また、ストーリーはマルチになっていて、選択肢によって敵が味方になったり、味方が敵になったりする。これは主人公がLaw寄りなのか、Chaos寄りなのか、それともNeutralなのか、ゲームではこのような言葉で分類されているが、その選択した行動によって、全てのキャラクターの生き様と合うか反るかで決まっていく。
この辺りの作りの細やかさは、イマドキのゲームではあまり考えられないものだと思う。
そのような名作を、一度はPSPという媒体でリメイクはされたものの、そのまま埋もれさせてしまうのは実にもったいないと思っていた。
FF14のイヴァリース
このようにタクティクスオウガ…というより、オウガバトルサーガの面白さは、今では体験する事がとても難しい。それだけに今回の商標登録は嬉しい話なわけだが、松野氏のテイストを感じる事のできるゲームは、他にもいろいろある。
特に私がオススメしたいのは、FF14の「RETURN TO IVALICE」というコンテンツ、あるいは同じくFF14の「セイブ・ザ・クイーン」というコンテンツである。
FF14のメインストーリーとは絡まないサブストーリー的なコンテンツではあるのだが、実によく練られたコンテンツで、ストーリーも面白い。
比較できるものとして、同じくFF14の「YoRHa: Dark Apocalypse」というコンテンツがあるが、クリエイターの色がとてもよく出ていて、松野氏とヨコオタロウ氏の違いが明確に出ていて面白い。
今の時代、コンテンツは既に飽和状態になり、ゲームも古き良き時代の掘り起こしが起きている。
最新作がダメという事はないが、問題は過去の名作と呼ばれる作品をどのようにして残していくか、という事だと思う。
不偏のプラットフォームへと移植していくのが最も良いスタイルなのだが、権利の問題などいろいろあって難しい側面がある。
少しでも名作が残っていけるような状況を作って行ければ、ゲーム業界もまだまだ捨てたものではないと思うのだが、残念な事に日本のゲーム業界はちょっとずつ落ち目になっているように思える。
面白い作品が作られてきたのだから、そうした日本らしいスタイルにもっと活気が戻るといいなと思っている。
何はともあれ「Tactics Ogre: Reborn」がどのようなものになるのか期待したい。