導入モニタを改めて考える

ここ最近、考え直す事ばかりで先か見えない。

10bit True入力モデルは高い

当Blogで、メインPCの入れ替えやらモニタの入れ替えやらで、設備入れ替えの話をちょくちょくするのだが、それは単純に私に思い切りが足りないというだけでなく、いろいろとリアルな情報が足りていないという事も多少なり関係している。
というのも、実機を目の前にしたりして検討を進めているわけではないので、結局はネットで仕入れた情報を元に、脳内シミュレーションの繰り返しで、最適解を求めようとしているに過ぎない。
なので、ちょっとした情報の食い違いがあると、即座に見直す必要があり、結果がひっくり返るなどという事はよくある事である。
先日、モニタの入れ替えにおいてウルトラワイド液晶を導入するよりもWQHDモニタを2枚導入した方が結果的に安く交換できるという話をしたが、これそのものは間違いの無い事実である。
案外これがもっとも有効性の高い構成かもしれないところが、その後、WQHDのモニタをいろいろと確認してみると、結局10bit入力が可能なモデルの価格は結構な価格になる事が判明。さらに10bit入力が可能としているモデルでも、10bit True入力が可能なモデルと、10bit入力としていても実際には8bit+FRCでしかないモデルがあるという事も判明した。
以前、確かに8bit+FRCという入力がある、という事を耳にしたコトがあり、今では記憶にすら残っていなかったのだが、今回改めて8bit+FRCというものが何であるかを調べる事にした。

スペックに騙されるな

もともと、8bit入力というのは、RGB、つまり赤、緑、青それぞれの色の階調を256段階持っている色情報の事を指す。
256×256×256=16,777,216、つまり表示色は1677万7,216色という事になり、そのモニタでの最大発色数が1,677万色と書かれていれば、即ちそのモニタは8bitカラーしか扱えないモニタ、という事になる。
逆に10bit入力だと、これが1,024×1,027×1,024=1,073,741,824、つまり10億7,374万1,824色、つまり10億色となり、同時発色数が10億と書かれていれば、そのモニタは10bitカラーを扱えるモニタ、という事になる。
ところが、この8bitカラーが扱えるモニタの中に、8bit+FRCという、本来8bitカラーしか扱えないはずなのに、謎技術で10億色を扱えるモニタというのが存在する。
この8bit+FRCの「FRC」というのは“フレームレートコントロール”という意味で、フレームレートを操作して、隣接する色を連続Flashさせ、欠落している色を見る事ができるように目を欺かせる機能を言う。もっと簡単に言うと、近似色2色をフレームレートを操作して交互に連続点滅させて、あたかもその中間色に見えるようにごまかしている、という事である。だから、色データとしては8bitデータしかないが、見た目として10bitカラーのように見せる、という技術なワケである。だから実際に10bitカラーのデータをモニタ側に送って表示しているわけではなく、あくまでも8bitデータしかモニタは受取っていないものの、表示する際にはもっと手の込んだ処理をして人の目を欺いているワケである。
だからモニタのスペックとしては10億色表示している、と記載しているが、実際に同時発色数として10億色というわけではないのである。
なので、モニタを選ぶ際には、同時表示色数を見るのではなく、何bitカラーなのか、という事を明確に記載しているスペックを確認しないといけない。単に10億色を同時発色できる、という記載だけでは、それが8bit+FRCかもしれないし、リアルに10bitカラー表示しているかは判らないのである。

案外10bitカラー表示機は少ない

この観点から製品をいろいろと調べて見ると、実際に10bitカラー表示が可能なモニタというのは案外少ない事に気づく。
10bitカラー表示が可能な機種は、価格的に非常に高価で、用途としてはプロの写真家や、イラストレーターを生業としている人向けの製品がほとんどで、ゲーミングディスプレイなどで10bitカラーを実際に扱っている製品は非常に少ない。
まして高いリフレッシュレートを持つ製品だと、そのリフレッシュレートを維持する為に10bitカラーのデータを毎秒144フレーム以上(ほとんどが165フレーム以上だが)維持するというのは非常に困難で、この場合、インターフェースだってDisplayPort 1.4bくらいの規格になっていないと実現は不可能と言える。
なので、4K画質までも求めないにしても、WQHDサイズでリフレッシュレート165Hz、10bitカラー、HDR対応となると、PCとモニタの間の通信データだけでも相当な通信量になる事を考えると、インターフェースのバージョンなどでも8bitカラー対応なのか、10bitカラー対応なのかが判断できるかもしれない。
あと、私の今回の記事だと8bit+FRCは良くない、というイメージを持つ事になるかもしれないが、正直、8bit+FRCでもゲーミングディスプレイだと十分過ぎると言えるかも知れない。というか、10bitカラーにする事でリフレッシュレートを落とす必要があるぐらいなら、8bit+FRCで必要なだけのフレームレートを稼ぐ方がゲーミングディスプレイとして正しい方向性と言える。
WQHDのゲーミングディスプレイの高級機と言われるGIGABYTEの「AORUS FI27Q-P」も10億色表示可能としつつも、実際には8bit+FRCであり、それでいながら165Hzのリフレッシュレート、DisplayHDR400を実現するため、PCとモニタ間の通信帯域幅32.4Gbpsを実現するHBR3を実現するDisplayPort1.4のインターフェースを持つモニタである。
業務用として10bitカラーを必要としない限りは、バランスを考えれば8bit+FRCで8bitカラーを拡張する機能で留めて置く方が、目的に合致したモニタ選びになる可能性も十分ありうると言える。

と言うわけで、私がモニタで気にしていた10bitカラーという部分は、本当の意味で目的をどこに持つかで考え方を変えないと、ただ闇雲に高級モニターを購入するだけで、本当の狙いを外してしまう可能性がある。
というわけで、私としては改めて導入するモニタを再考する必要があると言える。
技術を知れば知る程、実に奥の深い話である。

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武上

18歳の時、人生の最大の選択ミスをしてしまい、いきついた場所として山梨県人となる。 その後、建設業に身を投じ、資格をいくつか取得するものの、結局自分の性格と合わない事を理由に上京。 上京後、世間で話題になりつつあったアニメ・ゲームを主体とする業界の人間となり、デジタルコンテンツ業界を含む数々の著名人と同じ土俵でマルチメディアな仕事をするに至る。 一見華やかなメディアの世界の、その闇の深さたるやハンパない事こそ世間に何となく知られてはいるが、業界人しか知らないその氷山の全体像を十分すぎるほど目の当たりにした後、家庭の事情で再び甲州へと帰還。 しかし、この帰還も人生の選択ミスだったかもしれないなぁ…と今では思うものの、時既に遅し。 今は地元の製造業を営む会社の総務・品質保証という地味ではあるものの堅実な職につき、いつか再びやってくるだろう夢の実現を信じて隠者的生活を送っている…ハズだったのだが、またしても周囲の事情で運命は波乱の様相を見せ始めた。 私の人生は一体どの方向を向いているというのだろうか? ちなみに筆者はPCとの付き合いはかなり長いと思っている。 古くはPC-8801 mk2 SR、X1 Turbo、X68000、FM-Towns、PC-9801シリーズ(互換機含む)、PowerMAC 9500等をリアルタイムで使い、その後は、Windows PCの自作機を中心に現在に続いている。 デジタルガジェットに関しては興味もある事から、その時代の時々において、いろいろ使ったり調べたりして、専門家ほどではないが知識は蓄えてきたと思っている。 そうした経験を元に、今の時代へ情報発信させてもらっている。少々くどい言い回しが多いかも知れないが、お付き合いいただけるとありがたい。 連絡先:takegami@angel-halo.com (@を小文字にしてください)

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