X68000Z、売り切れる

3億円を超える資金をあつめたあの企画が締め切られる。

支援者限定数、達成

瑞起が企画したX68000の復刻クラウドファンディングが、支援者数限定数に達し、締め切られた。
最終的に集まった資金は321,615,450円で、サポーターは5963人に上る。
期待せずにはいられない目標は33,000,000円だったわけだから、大凡10倍の資金を集めた事になる。ある種、脅威的な数字である。
それほどX68000という存在に魅力があったという事だろうし、当時を知るものとしてはあのときの興奮は間違っていなかったとなるだろうし、当時を知らない人からするとそんな凄いPCが何故覇権を取れなかったのか? と疑問に思うだろう。
実際、当時X68000 Expertを所有していた私からしても、このPCが覇権を取れなかったのは何故だろう? と思う時がある。
ま、単純に言えば、当時は国民機と言われたNECのPC-9801シリーズが日本のPCの覇権を採っていたわけだが、これはビジネスシーンで利用されていた事が大きく、圧倒的数量で覇権を握っていたからだが、よくよく調べて見ると、その後のソフトウェア開発者のほとんどはX68000でプログラミングを学んでいた、なんて事はよくある話である。
つまり、X68000はコンピュータを利用したクリエイティブシーンに実にマッチした製品だったという事が言える。これを夢のマシンと言わずして何と言おうか。
そういった勢いが現代に蘇った結果が、3億円オーバーという今回の資金達成の原動力ではないかと思う。

で、参加したのか?

結論から言うと、今回私はサポーターになる事を諦めた。
理由は、内蔵するSoCの性能が私の希望に達していないだろう、という予測があったからだ。
ネットで情報を集めていると、現時点で動作しているプログラムの動作が最適化されていないにしてもギリギリのラインで動いているような話がちらほら見受けられた。
もちろんソフトウェアは最適化すれば動作も大きく変わるという事はわかっているが、このSoCではX68000 XVIの動作を達成する事は難しいのではないかと考えた。
元々のX68000は10MHzで動作するマシンだったが、XVIは16MHz、満開製作所が提供していたREDZONEでは24MHzで動作した。
X68000 Expertを使っていた私からすると10MHzでは晩年苦労していたのは事実だ。どうしてもXVIなどが眩しく見える存在だった。
なので、XVIレベルの動作が可能になる後継品が出てくる事を期待して、今回は見送る事にした。他にもX68000といえばMIDI機器を接続してのDTMが発展したPCだが、今回のX68000ZではこのMIDIとの接続がどのように可能になるのかが見えてきていない。
というのも、当時のMIDI機器の多くは、接続インターフェースがMIDI端子しかないので、MIDIコントロールボードが必要だった。そういった機器をどうやってX68000Zと接続するのか、という事が、今の時点では全く見えないというのも気になるポイントだった。
このMIDIに関しては、YAMAHAのMU1000やMU2000だと、USB接続が可能なので、USB MIDIドライバーさえ作る事ができれば接続は可能と思うのだが、USB接続できるMIDI音源の方が当時は珍しいので、その部分は今後動向を見たいと思う部分である。

久々にXM6 TypeGを起動してみた

新PCに移行したので、以前使っていたX68000エミュレータである「XM6 TypeG」を新PCにデータ引越しして起動してみた。
…ま、CPUコアがエミュレータの要件を大きく超えているので、爆速で起動する。
同時に、新PCに接続したYAMAHA MU2000を起動させる。既にUSB MIDIドライバーはインストール済みである。
するとXM6 TypeG上で動作するX68000(XVIをエミュレートしている)でもMU2000が利用可能になる。設定でそのようにしているのだが、手軽に動作してくれるのは実に素晴らしい。
当時、いろいろな人が構築したMIDI再生環境がX68000には存在するが、それらを使って軽快にMIDI音源が当時の音を鳴らしていく。
X68000 Expertだといろいろなソフトウェア起動にももっと重い感じがしたが、エミュレータとはいえ、Ryzen7 7700Xだとそうした処理が一瞬で完了する。
システムとしては非常によく出来たもので、ほぼX68000がこのXM6上で動作している。
FDDも2基を別々にローディングでき、設定さえすれば内蔵HDDを設定してそれでシステムを起動させる事もできる。
かなり完成度の高いエミュレータなので、X68000Zもこれぐらいの再現性になってくれると良いのだが、それらは今後に期待といったところである。

XVIモデルが出るといいなと思っている人は多いと思う。
まずは初期モデルが再現されるという事は確実なので、このプロジェクトが今後さらに拡充していく事を切に願いたい。

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武上

18歳の時、人生の最大の選択ミスをしてしまい、いきついた場所として山梨県人となる。 その後、建設業に身を投じ、資格をいくつか取得するものの、結局自分の性格と合わない事を理由に上京。 上京後、世間で話題になりつつあったアニメ・ゲームを主体とする業界の人間となり、デジタルコンテンツ業界を含む数々の著名人と同じ土俵でマルチメディアな仕事をするに至る。 一見華やかなメディアの世界の、その闇の深さたるやハンパない事こそ世間に何となく知られてはいるが、業界人しか知らないその氷山の全体像を十分すぎるほど目の当たりにした後、家庭の事情で再び甲州へと帰還。 しかし、この帰還も人生の選択ミスだったかもしれないなぁ…と今では思うものの、時既に遅し。 今は地元の製造業を営む会社の総務・品質保証という地味ではあるものの堅実な職につき、いつか再びやってくるだろう夢の実現を信じて隠者的生活を送っている…ハズだったのだが、またしても周囲の事情で運命は波乱の様相を見せ始めた。 私の人生は一体どの方向を向いているというのだろうか? ちなみに筆者はPCとの付き合いはかなり長いと思っている。 古くはPC-8801 mk2 SR、X1 Turbo、X68000、FM-Towns、PC-9801シリーズ(互換機含む)、PowerMAC 9500等をリアルタイムで使い、その後は、Windows PCの自作機を中心に現在に続いている。 デジタルガジェットに関しては興味もある事から、その時代の時々において、いろいろ使ったり調べたりして、専門家ほどではないが知識は蓄えてきたと思っている。 そうした経験を元に、今の時代へ情報発信させてもらっている。少々くどい言い回しが多いかも知れないが、お付き合いいただけるとありがたい。 連絡先:takegami@angel-halo.com (@を小文字にしてください)

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