Ryzen 9000シリーズが近いのか?

AMDのCPU価格の下落が結構な様相を見せてきた。これは次が近いのか?

Ryzen7 7800X3Dが5万円切り

価格.comで調べた限りの話だが、Ryzen7 7800X3Dの価格が最安値で49,100円だった。
遂に5万円切りで、7700Xと価格が変わらないレベルになっていた。
TDP 65Wの7700の価格が逆に7700Xより高くなっているケースもありそうで、もう価格というものが性能に依存している状態ではない状況のようである。
性能面から考えても気になるのはやはりRyzen7 7800X3Dだが、これが5万円を割り込んだ事は私の中では結構な衝撃である。
3D V-CacheによってL3キャッシュが96MBになる…これだけで、キャッシュを多用するプログラムは確実に速くなる。しかもその性能は上位クラスのCPUに匹敵する結果を出すとなれば、気にならないわけがない。
マルチタスク性能でいえば、確かに上位クラスのCPUに分があるのは間違いないが、PCゲームのような未だにマルチスレッド対応であっても少ないプロセッサで動作する前提のプログラムでは、キャッシュメモリの効果は絶大である。
なので、これが5万円を下回るとなると、いよいよこれは入れ替えを検討してもよいかも? と思うワケだが、同時に考えられる、もう一つの可能性を排除する事はできないのが難しいところである。
それが、Ryzen 9000シリーズの登場である。

情報が出てきた

Ryzen 9000シリーズが次のデスクトップシリーズのナンバリングになるというのは、ちょっと前に明確になった話である。
アーキテクチャがZen 5に刷新される事で、いろいろと進化した内容になると言われており、今出ている噂だけでも以下の仕様とされている。
Zen5の新型が近いのか?
・アーキテクチャ:Zen 5
・コア数:6~16個
・統合GPU:RDNA2もしくはRDNA3.5
・TDP:65~170W
・パフォーマンス:IPCで10%以上向上
・キャッシュメモリ:最大64MBのL3キャッシュと16MBのL2キャッシュ
・製造プロセス:TSMC 4nm
・メモリ互換性:DDR5-6400

特筆すべきは、キャッシュメモリが標準でZen4の2倍になっているという事。
もしこれで3D V-Cache対応のRyzen 9000シリーズが出てきたならば、一体どの程度の性能になるのか…。もちろん、性能はキャッシュメモリだけでは伸びないのだが、メモリ効率が上がる事のメリットはとても大きいとも言える。
しかもソケットはAM5なので、既存のマザーボードはBIOSアップデートで対応できるとされる。一応X870Eをはじめとした新チップセットも登場するようだが、基本的にUSB4.0対応が主でメモリコントローラにアップデートがあるとされる。どうも対応メモリとしてDDR5-6400がスイーツスポットになるらしい。
大きな違いがないので、既存のX670Eを使用している人はそのままマザーボードを利用してもあまり変わらないのではないかと考えられる。
このRyzen 9000シリーズの登場が近くなったことで、既存のCPUの価格が下落してきた、と考える事は十分できる話であり、今回の最安値はその影響下にあるのではないか? と思われるのである。

NPUはどうなるのか?

私がRyzen 9000シリーズとして一番気になっていた部分は、NPUが搭載されるのか否か、という事だった。
ノートPCに搭載される、省電力型CPUは、IntelもAMDもそれぞれNPUといった、AI処理に適したユニットをCPU内に統合している。
そして最も稼働するであろうOSであるWindowsもまた、CopilotとしてAI機能を搭載するようになっていて、NPUの有用性を示している。
つまり、今後のコンピューティングにはAI処理は必然的なものになりつつあり、実際アプリケーションの中にはNPUを利用したAI処理によってコンテンツを生成したり、素材を加工したりする機能を持つものが登場している。
であるなら、デスクトップに搭載するCPUにもNPUはあってしかるべきと私は思っているのだが、残念ながら今の段階でデスクトップ系のCPUでNPUを搭載しているものは、AppleのMシリーズしかない…というかMシリーズはデスクトップやノートの区別がないのだが。
何故IntelやAMDはデスクトップ向けCPUにNPUを搭載する話をしないのだろうか?
NPUも結局は処理ユニットでしかないので、デスクトップ向けCPUはそのCPUコアでAI処理をさせられる、と考えているのだろうか?
もしその考えなら、AI処理がそれで効率よく処理されれば問題はないが、演算そのものがNPUで処理した方が効率的となれば、NPUを搭載しない手はないと思うのだが…。
今の噂の段階では、Ryzen 9000シリーズにはNPUは搭載されるような話はない。
実際には蓋を開けてみないと分からないが、何となくNPUの搭載はまだ先になるのではないかと思っているので、価格的にRyzen 7000シリーズの初値よりも値上がりするようであれば、既存のRyzen7 7800X3Dを購入する、という手もアリなのかもしれない。

PCは欲しい時が買い時である。
これは自作PCの格言みたいなものだが、新アーキテクチャなどが見込まれている時にこれを実行できる人は相当な強心臓なのではないかと私は思う。
今はそれぐらい導入コストが高くなっているという事でもあるのだが。

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武上

18歳の時、人生の最大の選択ミスをしてしまい、いきついた場所として山梨県人となる。 その後、建設業に身を投じ、資格をいくつか取得するものの、結局自分の性格と合わない事を理由に上京。 上京後、世間で話題になりつつあったアニメ・ゲームを主体とする業界の人間となり、デジタルコンテンツ業界を含む数々の著名人と同じ土俵でマルチメディアな仕事をするに至る。 一見華やかなメディアの世界の、その闇の深さたるやハンパない事こそ世間に何となく知られてはいるが、業界人しか知らないその氷山の全体像を十分すぎるほど目の当たりにした後、家庭の事情で再び甲州へと帰還。 しかし、この帰還も人生の選択ミスだったかもしれないなぁ…と今では思うものの、時既に遅し。 今は地元の製造業を営む会社の総務・品質保証という地味ではあるものの堅実な職につき、いつか再びやってくるだろう夢の実現を信じて隠者的生活を送っている…ハズだったのだが、またしても周囲の事情で運命は波乱の様相を見せ始めた。 私の人生は一体どの方向を向いているというのだろうか? ちなみに筆者はPCとの付き合いはかなり長いと思っている。 古くはPC-8801 mk2 SR、X1 Turbo、X68000、FM-Towns、PC-9801シリーズ(互換機含む)、PowerMAC 9500等をリアルタイムで使い、その後は、Windows PCの自作機を中心に現在に続いている。 デジタルガジェットに関しては興味もある事から、その時代の時々において、いろいろ使ったり調べたりして、専門家ほどではないが知識は蓄えてきたと思っている。 そうした経験を元に、今の時代へ情報発信させてもらっている。少々くどい言い回しが多いかも知れないが、お付き合いいただけるとありがたい。 連絡先:takegami@angel-halo.com (@を小文字にしてください)

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