自分自身が分からなくなる

 エヴァの中でも「ヤマアラシのジレンマ」とかATフィールドとか、いろいろな言葉を使って、互いのパーソナルエリアを守ろうとする障壁を表現している。
 確かに人には踏み入る事のできない部分というのは存在しているだろうし、多分私の中にもそういうものがある。
 だが、そういう部分があるからこそ、人は人を理解したいと考える所もあるわけで、そこは表現は難しいが、一種、タブーに触れる事への禁忌への衝動に似ているような気がする。
 正直言うと、今、私は自分自身の内部に多分のストレス材料を抱え、そのストレスを発散する意味で、バイク通勤とかそういう“物欲”にはけ口を求めている所がある。この部分は、ある種、私の触れられたくない部分でもある。
 不思議に思った人も多いのではないかと思う。
 あれだけ何か一つ買うにしても予算がない、と口癖のように言っていた私が、ここ最近何でもバンバン購入しているという事を。
 実は、この行為そのものが自分をさらに追い込んでいる原因でもあるのだが、その原因を悪化させてもなお、押さえられない衝動とストレスが発生しているのである。
 まぁ、そんな事をつらつらと書き連ねた所でただのグチにしかならない訳だが、ここらで一気に精算してしまわないといけないとも理解している。
 今、私は職場でほぼ「いらない人」化している。
 多分、私の存在が和を乱す存在となっているハズだ。別にそうなりたくそうなっている訳ではない。だが、明らかに私の行動ベクトルが組織とは相反する方向に向かいつつある。
 組織の中で、その人がどんなに中核になっていようが、その存在が和を乱す存在ならば、一番手っ取り早い解決方法は、その和を乱す存在がその中が消えるのが早い。
 と言うわけで、今、私の直上の上司に退職願伺いを立てている。
 実は、この退職の件、今から約1年前に計画していた事なのである。


 私の職場は、9月決算であるため、9月末には来期の組織計画やその展望が決定する。
 昨年9月末、私は事業部会議の席にて、営業リーダーの任を受けた。
 その際、専務から「リーダーとなれば(部署の)目標に対して責任を負うことになる」と通達された。
 当然である。所属長ではないが、少なくとも周囲をまとめろと言われたのだからそこに責任がついて回るのは当たり前だ。その責任を負っていく以上、与えられた職務を完遂する事が出来なければ、私は責任を負わねばならない。
 ところが、その後部署の所属長から、私がリーダーになった事を部署員に説明される事はなかったのである。まぁ、他の人からすれば何となくそんな感じなのだろう…ぐらいには感じたかもしれないが、正式な通達として伝えられる事は無かった。
 まぁ、そんな事は些細な事と思い、あまり気にする事もなかったが、結果として私は未宣言のまま、リーダーなのかよく分からない状態を維持しつつ業務を行ってきた。
 だが、ここに私の内部で予期せぬ変化が生まれた。
 私自身が責任を負っているという意識に追い詰められ始めたのである。未宣言であるにも関わらず、責務だけはちゃんと存在するわけで、その責務に私自身がジリジリと責め立てられ始めたのである。
 そうなると、自分としては責任を何とか果たさねばならないという意識が強くなり、私の中で日頃の活動にいろんな障害が出始めた。頭が空白になったり、覚えられるものをすぐ忘れてしまったり…。
 この変化でより自分の中に焦りが生まれ始めた。
 自分自身のアイデンティティを維持しようとするベクトルと責任というベクトルの釣り合いが取れなくなり、そのアンバランスな雰囲気が周辺にまで飛び火したような感じになった。
 そして今、その影響なのか、私は組織の中で単独ベクトルの存在となった(おそらく)。
 この事が原因で、今組織内に不穏な雰囲気が生まれてしまった。
 つまり、和を乱す者=私である。
 私自身、自分の内部変化に戸惑いを覚えつつ、自分の思いとは全く逆に働くベクトルに焦る毎日が続いた。
 不穏な雰囲気が生まれれば生まれるほどこの焦りは大きくなり、焦りが大きくなればなるほど、不穏な雰囲気は強くなっていった。
 1年前、私がリーダーと言われたその時、私はおそらく責任を取らねばならなくなるだろうという予測をしていた。
 そもそも与えられた目標を達成するには無理があると思っていたのである。
 今までの責任ある者たちは、その責任を取ることもなくそのままにしてきている。その事が下の者からみてどれだけ安易な存在に見えたことか。
 その中に一石を投じる意味でも、私は責任を取らねばならないと考えていた。
 もちろん、退職する事が責任とは言わない。辞める事で責任を全うするというのはあまりにも無責任だ。だから私は目標達成に対する障害を分析し、その分析結果を以て責任を果たす事とし、その分析結果を前もって予測していたにも関わらず、どうする事もできなかった罪として、退職を願い出る事を予測していた。
 そして今の問題である。
 和を乱すものが消えるのが組織安定のもっとも手っ取り早い話であるならば、私は責任と罪とを果たし償う事と合わせ、退職するのが理想だという結論に至った。
 この事をどう受け止めるかは所属長の判断であり、私はその所属長の判断に身柄を預けたいと思っている。
 退職となるならばそれもよし。
 継続となるならばそれもよし。
 ただ、継続する場合は今ある問題をどう解決するかを考えねばならない。
 正直、今の私にどうすればいいのかを考える力はないように思える。
 周囲から見れば「何をそんなに悩む?」と思うかもしれないが、私の内部ではいろいろなベクトルの意識が錯綜している為、まともな判断が出来ていないだろう。
 その中にあって問題解決を言い渡されるとするならば、その時にはまた別の意味で退職願を出さなければならないかもしれない。
 自分の居場所を完全に見失っている自分がいる事に気がついたときから、私はもう後戻りできない所にまで来ているのではないか、と思える。
 実に悩ましい事である。
 しかし…
 前の会社ではこんな事には全くならなかったのだが、この会社に来てからというもの、私はどうも無能者という位置づけにいる。
 ホントに無能者なのかもしれないが、前の会社ではそんなに無能者ではなかったように思えるだけに、不思議でならない。
 人の努力によって変えられるものと変えられないものがあるのなら、今の会社に溶け込むという事が、私にとって変えられない何かなのかもしれない。

この記事が気に入ったら
いいね!しよう

Share
アバター画像

武上

18歳の時、人生の最大の選択ミスをしてしまい、いきついた場所として山梨県人となる。 その後、建設業に身を投じ、資格をいくつか取得するものの、結局自分の性格と合わない事を理由に上京。 上京後、世間で話題になりつつあったアニメ・ゲームを主体とする業界の人間となり、デジタルコンテンツ業界を含む数々の著名人と同じ土俵でマルチメディアな仕事をするに至る。 一見華やかなメディアの世界の、その闇の深さたるやハンパない事こそ世間に何となく知られてはいるが、業界人しか知らないその氷山の全体像を十分すぎるほど目の当たりにした後、家庭の事情で再び甲州へと帰還。 しかし、この帰還も人生の選択ミスだったかもしれないなぁ…と今では思うものの、時既に遅し。 今は地元の製造業を営む会社の総務・品質保証という地味ではあるものの堅実な職につき、いつか再びやってくるだろう夢の実現を信じて隠者的生活を送っている…ハズだったのだが、またしても周囲の事情で運命は波乱の様相を見せ始めた。 私の人生は一体どの方向を向いているというのだろうか? ちなみに筆者はPCとの付き合いはかなり長いと思っている。 古くはPC-8801 mk2 SR、X1 Turbo、X68000、FM-Towns、PC-9801シリーズ(互換機含む)、PowerMAC 9500等をリアルタイムで使い、その後は、Windows PCの自作機を中心に現在に続いている。 デジタルガジェットに関しては興味もある事から、その時代の時々において、いろいろ使ったり調べたりして、専門家ほどではないが知識は蓄えてきたと思っている。 そうした経験を元に、今の時代へ情報発信させてもらっている。少々くどい言い回しが多いかも知れないが、お付き合いいただけるとありがたい。 連絡先:takegami@angel-halo.com (@を小文字にしてください)

You may also like...

5 Responses

  1. アバター画像 関西の人 より:

    お疲れ様です。
    現場にいないので、どういう状況かは把握できないので
    なんともいえないですが・・・。
    今までの話しを聞いている限り、無能者というのは、
    ちょっときつく感じますね。
    決してそんなことはないと思いますが。
    集団だと、自分と違うベクトルを持つものや、自分のベク
    トルを侵そうとするものをそういう風に扱われることを
    昔の職場で経験したことはありますが・・・。
    退職を1年前から計画していたということは、ある程度次の
    めどができてるということですか?
    少しこのあたりが心配かと。
    過度にストレスをためている状態は、人間にとって一番よく
    ない状態です。
    無理せず御自愛を。

  2. アバター画像 可憐 より:

    久々にこのブログに訪れてみれば、何かイヤな感じになってますね。
    今までは訪れてもコメントを残す事はしてなかったんですが、今日は一言残していきます。
    自分に厳しすぎる所があるのは昔と同じですね。
    自分と同じ厳しさで他人が生きているという感覚を捨てないと、孤立してしまいますよ。
    私は貴方が自分に厳しいという事をよく知っているし、その厳しさに付き合ってきた方なので、何となく今の状況が分かるような気がします。
    まず、自分の厳しさから他人を切り離し、他人は他人という所をもっと意識してみてはどうでしょう?
    多分それだけでも随分と変わるような気がします。
    それと、貴方が無能な訳がないでしょう?
    もし無能なら私の方から貴方から離れて行ってます。
    自分の方向性と今の環境が合わないのなら、合う環境を外に求めるのも一つの方法でしょうが、今の環境を自分の方向に持って行くぐらいのセンスも貴方なら持っていると思います。
    身を切る前に、もう少し周囲を観察してみてはどうですか?
    あまりたいした事は言えませんが、少なくとも私は貴方がスゴイ人だと思ってます。
    これぐらいの環境なら貴方は超えられると信じてます。
    以上、血は繋がって無くてもいつまでも貴方の妹だと信じてる可憐より

  3. アバター画像 武上 より:

    珍しい人からコメントがきたなw
    まぁ、わかっちゃいるんですよ。
    私に原因がある事はね。
    ただ、私だけが原因なのか?
    もちろん、私は自分が原因だとは思ってる。
    でも周囲の人々は?
    その人達に原因があるという可能性はゼロ?
    本来なら、自らの中に何かしらの問題があるという事を自覚して、他人を責めず、自らを律するのが人の良識なんじゃないかと思ったりする。いや、これはどちらかというと道徳かな?
    まぁ、もちろんそんな考え方を強要したりしないけど。
    ま、私がここでそんな事を言っていても仕方がない。
    私自身にある問題をどこまで消化できるかわからないけど、突きつけるべき意思と課題は出すべきところに出した。
    あとはその結論とこれからの道標をどうさし出してくるかを見極めるだけ…かな。
    周囲の状況を知らない人から見てただの愚痴にしかなっていない記事にコメントいただいて痛み入ります。
    それと可憐へ。
    久々に出てきたなw
    とりあえず忠告ありがとう。
    キミは私を買いかぶりすぎてるところがある。私が弱く脆い存在だという事は、私以上に知っているハズなんだが…。
    まぁ、未だに妹だと行ってくれる存在がいてくれるだけありがたいと思ってる。
    ただ…ココで「妹」という言葉を出すのはいかがなものかとw

  4. アバター画像 より:

    読ませていただきました。
    nameと文章を見れば誰か解ると思いますが・・・・
    率直な意見ですが、無能だとは思っていません。
    ただ、他人がどう、組織がどう、ベクトルがどうとかの前に
    まず自分自身がどの部署に身をおいているか?
    所属部署での役割は何か?
    私はもう少しあなた自身見直すところがあるのではないかと感じます。
    まぁ、そう気を張らずに気軽にやれよみたいな感じです。
    あなた以上に和を乱している存在は私の方なのだから・・・

  5. アバター画像 武上 より:

    > 踝さん
    自分自身を見つめ直すのは確かにそうだと思ってます。
    ただ…私、苦手なんですよ。
    図面とか図番とか品名が、一致しないんです。
    出来る人からすると、なんてことのない事なのかもしれませんが、これが一致しないから、入社した直後に「無能」と言われたんですよ。
    知らないかもしれませんが、私がまだ試用期間の時に部署会議で「使えない」宣言を受けた事もあるんです。
    なので、ここらで限界かな、と思ってます。
    こればっかりは何度か自分で直そうと真剣に取り組んだ事がありますが、いつまで経っても進化が見られません。
    多分、相当根の深い問題で、これが私自身の足を引っ張っている最大の原因です。
    もともとが大味な性格で、半年先は見えても明日が見えない人間なので、こういうトラブルは常について回ってます。今までも、そしてこれからも…

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA


コメントは承認待ちです。表示されるまでしばらく時間がかかるかもしれません。

Desktop Version | Switch To Mobile Version