ハイエンドPCは狙えない時代へ

おそらく今後はミドルレンジで必要十分と考えるべき時代。

消費電力が下がらない

自作PCを楽しんでいる人には、いろいろな人がいるのだが、ハイエンドPCを構成したい人という層もかなりいると考えられる。
別名パワーユーザーとも呼ばれたりする人たちだが、とにかく高性能なパーツでPCを組んでいき、その性能の高さを追い求めていく。
かつての私もその一人であったが、頂点を極めたことはほぼない。なぜなら、ハイエンドに行けばいくほど、コストパフォーマンスが悪くなるからだ。
コストパフォーマンスが悪くなるだけなら、余計に予算をかければ良いだけなのだが、同時にワットパフォーマンスを大凡悪くなる。
性能に対して消費電力が大きすぎるものになるのは、クロックを上げた際に特に消費電力が上がるため、高性能なパーツほど高クロックで動作している事から、どうしても消費電力が高めになってしまう。
ただ、今まではそうはいってもハイエンドとミドルレンジの性能差、消費電力差は違いはあれど多くの人が許容できる範囲内での差でしかなかった。
だが、2022年に登場したハードウェア、そして今後登場するであろうハードウェアは、そうした許容できる範囲内での差で収まらない可能性が出てきた。

一番の問題はGPU

過去にもGPUの消費電力が上がりすぎて問題になった事はある。だが、それでも家庭のコンセントの出力を飽和するほどの消費電力には程遠い消費電力だったし、許容できていた。
だが、ここ最近のGPUの消費電力の高さは、徐々に家庭用コンセントの取扱い出力に迫る…場合によってはそれを超えてくる可能性が見えてきた。
GPUだけで600Wとかいう時代がもう見えてきたのである。
消費電力はうなぎ登り
(画像は自作とゲームと趣味の日々)より引用)

今のGPUは外部補助電源をほとんどのものが必要としている。まだ、この外部補助電源がPCI-Eの6ピンタイプだったり、8ピンタイプだったりするならマシで、今はその8ピンを2つ、時に3つ使うGPUが増えてきた。
ところが、NVIDIAは12ピンの最大600Wを扱えるコネクタを採用するという話が前々から出ている。この12ピンはPCI Express 5.0仕様の電源ケーブルで、12ピンの反対側は8ピンが2本に分かれているもの、とされている。
だが、こんなのは序の口で、12ピンを2本なんてのもあるらしい…詳しい事はわからないが、大電力時代が来ていることは間違いなく、ハイエンドはもう手の付けられない消費電力へと向かっている事は間違いない。

消費電力が高いという事は…

このように消費電力が上がってきているという事は、同時に発熱もスゴイという事は容易に想像が付く。
これらを冷却する仕組みもより高度なものが必要であるし、それをPCの中に組み込むというシステムも必要である。
そうした場合、ハイエンドシステムは電力、排熱、コストといった総合的な構築までの壁がどんどんと高くなる事になる。
PlayStation5の筐体が巨大化し、冷却機構がとても大きい理由と同様に、自作PCでもハイエンドに行けば行くほど、こうした高い壁を超えていく必要があり、実現はどんどんと難しくなっていく。
となると、予算をとにかく無尽蔵に充てられない人は、もうハイエンド製品を追いかける事は事実上不可能になっていく。
ま、私ももうそうした流れに乗る事はできないと言えるだろう。

ミドルレンジ

では、求めるスペックをどこに置くか、という事を今後は考える必要がある。
CPUもIntel7(10nm)ではかなりの発熱と消費電力と言われているが、それはハイエンドな製品の場合。ミドルレンジで言われているCPUはまだ空冷でも冷却できるし、それはAMDのRyzenでも同じである。
Intelだと第12世代Core i7-12700Kあたりはミドルハイクラスの製品になるだろうし、RyzenならRyzen7 5700Xでもミドルハイに届くぐらいのポジションと言える。CPUは比較的消費電力のコントロールが出来る事が多いので、あまり困らないかもしれないが、低電力タイプを使っても性能的に困るという事は少ない。
問題はやはりGPUである。
NVIDIAだと、GeForce RTX 3080系でも結構消費電力が高めに出るし、安定して使えるのは3070系から、という事になる。
Radeonだと、GeForceほどではないが、RX 6800系はやはり消費電力が大きい。安定して使うにはRX 6700系以下ではないかと思う。
GPUの場合、PCIスロットの厚みをどれだけ消費するかである程度の想像が付く。
昔は2スロットがほとんどだったが、最近2.5スロット厚、3スロット厚という製品が出ているが、そうなるともう消費電力もハンパないものだと言えるので、できれば2スロット厚までのもので考えたい所である。

落ち着くスペック

そう考えると、省電力かつ一定の性能以上という落とし所にハマりそうなのは、Intel&NVIDIAなら、Core i5-12600K&GeForce RTX3060Ti、AMDならRyzen7 5700X&Radeon RX6600XTといったところが落とし所ではないかと考えられる。
まぁ、多少の変更を入れる事でも許容値には入ってくるとは思うが、扱いやすく、かつ性能を一定以上出す事を考えた構成としては、妥当なところではないかと思う。
もしこれが今世代でなく、次世代となった時も、結局はこのクラスの後継製品が、その枠に収まってくるだろうと思われる。大幅に消費電力が上がったり、或いは動作温度が上がったりするのは、ハイエンドクラスに限定されるのではないか、と予想される。
ただ、これらの組合せだと、GPUが扱えるメモリ量が大凡8GBに限定されてしまうという欠点がある。今やモニタは4K解像度が当たり前になってきているので、GPUはミドルレンジでも8GBより多いメモリ量でないと安心できない時代に来ていると私は思っている。
この部分さえ改善されれば、もはや普通に使う分でのPCはミドルレンジで十分な性能と言えるだろう。

私自身がこのような考え方になった事こそが、一番の変化点である。
PCゲームを突き詰めていくと、どうしても高性能追求型になっていくのだが、今やミドルレンジでもそこそこの性能を発揮してPCゲームをプレイできる時代になった、という事である。
それにしても…ハイエンドクラスのPCの消費電力の上がり具合は異常である。
こんなの、許容し続けていて良いのだろうか?

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武上

18歳の時、人生の最大の選択ミスをしてしまい、いきついた場所として山梨県人となる。 その後、建設業に身を投じ、資格をいくつか取得するものの、結局自分の性格と合わない事を理由に上京。 上京後、世間で話題になりつつあったアニメ・ゲームを主体とする業界の人間となり、デジタルコンテンツ業界を含む数々の著名人と同じ土俵でマルチメディアな仕事をするに至る。 一見華やかなメディアの世界の、その闇の深さたるやハンパない事こそ世間に何となく知られてはいるが、業界人しか知らないその氷山の全体像を十分すぎるほど目の当たりにした後、家庭の事情で再び甲州へと帰還。 しかし、この帰還も人生の選択ミスだったかもしれないなぁ…と今では思うものの、時既に遅し。 今は地元の製造業を営む会社の総務・品質保証という地味ではあるものの堅実な職につき、いつか再びやってくるだろう夢の実現を信じて隠者的生活を送っている…ハズだったのだが、またしても周囲の事情で運命は波乱の様相を見せ始めた。 私の人生は一体どの方向を向いているというのだろうか? ちなみに筆者はPCとの付き合いはかなり長いと思っている。 古くはPC-8801 mk2 SR、X1 Turbo、X68000、FM-Towns、PC-9801シリーズ(互換機含む)、PowerMAC 9500等をリアルタイムで使い、その後は、Windows PCの自作機を中心に現在に続いている。 デジタルガジェットに関しては興味もある事から、その時代の時々において、いろいろ使ったり調べたりして、専門家ほどではないが知識は蓄えてきたと思っている。 そうした経験を元に、今の時代へ情報発信させてもらっている。少々くどい言い回しが多いかも知れないが、お付き合いいただけるとありがたい。 連絡先:takegami@angel-halo.com (@を小文字にしてください)

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