GeForce RTX 3080 Ti

基準価格がひたすら上がる現状は変わらず。

ハイエンドの本命?

NVIDIAより、GeForce RTX 3080 Tiが本日22時より発売された。
深夜販売をしているところがあるので本日発売という事になるが、通常であれば明日発売という事になる。
ちなみに1週間遅れ程でGeForce RTX 3070 Tiも発売されるが、
前情報も結構出ていたが、唯一出てこなかったのがその国内価格。
米国価格は1,199ドルという話はちらほらと聞こえてきていたが、国内はそのままドル換算の価格にはならないので、最終的な価格が不明だった。
結果的に175,800円と、1ドル110円換算なら131,890円のところ、4万円以上の高値となった。ま、これぐらいの金額の盛り上がりは、元値から考えれば想像の域にあると言えるか。
ただ、それでも安いといえる価格ではない、というのが本音である。
ハイエンドの価格基準が変わったかゲーム用として最高峰と銘打ってはいるが、あまり一般的な価格ではないかな、と私としては思う。世界中の世の中の富裕層からすれば手の出る価格と考えれば、この価格が間違った価格とも言えないのが何とも残念ではあるが、GPUそのものが高騰化している現実は間違いない話だと言える。
位置付けとしては上位のGeForce RTX 3090とGeForce RTX 3080の中間という事で、性能もまさにその位置付けになるのだが、どちらかというとGeForce RTX 3090よりの性能は出るようである。
その理由は搭載しているメモリ量にあると言える。GeForce RTX 3080は現状のPCゲームがハイエンド領域で要求するメモリ量に僅か足らない10GBというものだったが、GeForce RTX 3080 Tiは12GB搭載した事で、その部分を解消する事ができた。それ故、性能の伸びがGeForce RTX 3090に近づく事になったようである。

ゲーム用として最高峰?

GeForce RTX 3080 Tiだが、前述したように、一応はゲーム用としては最高峰の性能を持つ製品と位置付けられる。
実際の最高性能はGeForce RTX 3090という事になるが、GeForce RTX 3090はクリエイター向けという事から、用途的に異なるというのがNVIDIAの見解のようである。
なので、GeForce RTX 3080 TiにはNV Linkの端子が存在しない。NV Linkは、SLI環境を構築するための端子だが、GeForce RTX 3080 TiはSLIを想定していないという事である。
昨今のゲーム環境ではSLIによる処理の底上げに対応しないものが多い。というが、業界の流れとしてはSLIを採用しない方向に流れている。価格の割に性能的向上が見合わないというのがその理由だろう。
ただ、このNV Linkは最高峰の製品に与えられる機能という位置付けとも言われていて、それが理由でGeForce RTX 3080 Tiには搭載されていない、という捉え方も出来る。
ではゲーム用途であっても最高峰の性能を欲する人は、どう考えてもGeForce RTX 3090を選択する必要がある、という事を暗に言っているワケであり、NVIDIAが元々切り分けているとしている用途としては、実は明確に分けられていないという話にもなる。
ま、価格的に全く手の届かない私からすれば、どうでも良い話ではあるが、最高峰を追い求める人は、このアタリの解釈をちゃんと知った上で製品選択してもらいたい。

AMDはどう出るのか?

今回、NVIDIAからGeForce RTX 3080 Tiとその下位モデルであるGeForce RTX 3070 Tiが発売となるわけだが、対抗するAMDはどのように立ち向かうのだろうか?
AMDは最高峰としてRadeon RX6900XT、次点のRX6800XT、その下のRX6800、その下のRX6700XTと発売しているが、ここにGeForce RTX 3080 Tiがライバルとして入った場合、その性能的対角にあるのはRX6800XTではないかと考えられる。
NVIDIAが今回GeForce RTX 3080 Tiを発売したという事は、そのレンジの製品に対してAMDは対抗策を打ってくるのが通常考えられる流れだが、今回発表された価格でいうなら、AMDはRX6800XTをそのまま対抗製品としてぶつけた場合に性能で劣ってしまう。
となると、AMDはRX6900XTとRX6800XTの間にもう一製品投入しないと性能的同等性は確保できない。
しかし、実際のRX6900XTとRX6800XTとの性能差の真ん中を行くような製品は、非常に作りにくいというか、考えにくいように思える。
そうなると、AMDとしてはRX6800XTの価格を下げて値段で勝負する、という選択肢を採るかも知れない。というか、今までのAMDならコストパフォーマンスでの勝負に出てくる流れである。
ただ、今の高騰するGPU市場だと、価格調整が上手く取れないのも事実で、有効な対抗策は打ち出せないように思われる。むしろそうした価格調整よりも潤沢に製品を供給できた方が勝つ、という図式になるような気がしてならない。

一般人、おいてけぼり

今回のGeForce RTX 3080 Tiの登場によって一つ考え方を変えなけばならないかな、と思える所がある。
それは、ハイエンド市場はホントにハイエンドにしか通用しない市場で、一般人が手を伸ばして届く市場ではなくなった、と考えるべき時にきた、という事である。
今までGPUで10万円程度までならがんばって手を伸ばせていた人達は、少なくとも今後はハイエンド市場のGPU製品には手は届かなくなる方向に流れそうである。
つまり、そうした10万円クラスのGPU購入が限界だという人は、7~9万円レベルのミドルレンジ製品(従来はミドルハイと呼ばれていた製品群)を購入する事となり、ハイエンドにはもう手が届かない時代へと向かった、という事である。
製品の性能も確かに上がっているので、実現したい表現を可能にする技術価格がより高いところに上って行った、というだけの事なのだが、従来では性能アップは製造プロセスの微細化でより多くのトランジスタを実装できる事により、価格据置で性能だけが上昇していた。今後はそうした流れにはならず、価格に応じた性能提供しか成されないのではないだろうか。
そう考えないと、この価格の高騰ぶりは説明が付かない。
残念である。

というわけで、とりあえずGeForce RTX 3080 Tiが登場した。
確かにスゴイ製品ではあるが、価格もスゴイ製品であり、普通の人には手の出ないものとなった。
自作PCでハイエンドを狙える人は、相当に予算をつぎ込める環境の人でないと無理、という現実は、長年自作PCを作ってきた私としては、とても寂しいものである。
この流れはGPUだけでなく、CPUも同じになりつつあるワケだが。

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武上

18歳の時、人生の最大の選択ミスをしてしまい、いきついた場所として山梨県人となる。 その後、建設業に身を投じ、資格をいくつか取得するものの、結局自分の性格と合わない事を理由に上京。 上京後、世間で話題になりつつあったアニメ・ゲームを主体とする業界の人間となり、デジタルコンテンツ業界を含む数々の著名人と同じ土俵でマルチメディアな仕事をするに至る。 一見華やかなメディアの世界の、その闇の深さたるやハンパない事こそ世間に何となく知られてはいるが、業界人しか知らないその氷山の全体像を十分すぎるほど目の当たりにした後、家庭の事情で再び甲州へと帰還。 しかし、この帰還も人生の選択ミスだったかもしれないなぁ…と今では思うものの、時既に遅し。 今は地元の製造業を営む会社の総務・品質保証という地味ではあるものの堅実な職につき、いつか再びやってくるだろう夢の実現を信じて隠者的生活を送っている…ハズだったのだが、またしても周囲の事情で運命は波乱の様相を見せ始めた。 私の人生は一体どの方向を向いているというのだろうか? ちなみに筆者はPCとの付き合いはかなり長いと思っている。 古くはPC-8801 mk2 SR、X1 Turbo、X68000、FM-Towns、PC-9801シリーズ(互換機含む)、PowerMAC 9500等をリアルタイムで使い、その後は、Windows PCの自作機を中心に現在に続いている。 デジタルガジェットに関しては興味もある事から、その時代の時々において、いろいろ使ったり調べたりして、専門家ほどではないが知識は蓄えてきたと思っている。 そうした経験を元に、今の時代へ情報発信させてもらっている。少々くどい言い回しが多いかも知れないが、お付き合いいただけるとありがたい。 連絡先:takegami@angel-halo.com (@を小文字にしてください)

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