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Intel CPUの不安定問題その後

第13・14世代のCore Processor不安定問題のIntelの現時点での見解。

電圧盛り過ぎの結果?

今月半ばごろに、Intelの第13・14世代のCore Processorで、CPU由来のVRAMエラーが出るという記事を書いた。

高クロックでの動作時にゲームなどが落ちるという事で発覚した問題だが、VRAMとエラーに出たことから当初はビデオカード関連のトラブルと思われた。
マイナーチェンジ過ぎるモデルしかし実際によく調査してみると、それはどうもGPU由来ではなく、高クロックでCPUが動作した時に発生する問題と判明し、Intelが調査に乗り出すという事が起きた。
過去、AMD製CPUでもメモリオーバークロックによってコアが焼損したという問題が発生した事はあるが、この問題からも分かる通り、こうした問題が発生する原因を作りだしたのはCPUメーカーではなく、マザーボードメーカーだという事を今回のIntelは明言した。
AMDの時はあからさまにマザーボードメーカーだとは言っていなかったが。
ではなぜIntelはマザーボードメーカーにその責任があるという話にもっていったのだろうか?
よくよく調べて見ると、Intel600/700シリーズのチップセット搭載マザーボードでUEFI/BIOSの初期設定が温度及び電力供給の安全機構を無効化し、CPUを高電圧高周波数にして連続稼働させるような限界設定となっていた事を突き止めたようだ。
そこでIntelとしては、各マサーボードメーカーに対し、エンドユーザーへのUEFI/BIOSの初期設定をIntel推奨値に従った推奨値に設定するよう要求した、というのである。
コレ、やっぱりIntelではなくマザーボードメーカーの問題だったという事になるのだろうか?

過激化する追い込み

CPUの性能競争の果てに、CPUの性能限界を超えたところに設定値を置き、それを初期設定にしてしまうというのは、やはりベンダー側の問題ではないかと思うが、メーカーとしてもそれを推奨していたような動きがあった事は否定できないと思う。
特にIntelは製造プロセスでAMDに大きく出遅れていたところがあり、普通のやり方では性能は同程度にまで引き上げるのが限界みたいな感じがあった。
おそらく第9世代のころからこのような電圧盛りのような設定が行われ始め、ライバルたるAMDに食い下がるような行為が当たり前のように行われ始め、そして遂に第13世代ではAMDのCPUを超える性能を叩き出し始めた。
その結果、Intelとしても電圧盛りの流れを止める事はせず、性能としてAMDを超えられる事を各レビュアーに言わせていたような雰囲気があったように思う。
であるなら、今回のIntelの「ベンダーが盛りすぎ設定しているのが原因」という事を言い切るというのは、いささか自らにも戒めを持たねばならないのではないか? と思える。
ま、たしかにIntelの初期設定値は、行きすぎたものではなかったのかもしれないが。

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CPU由来のVRAMエラー?

Intel製CPUで発生しているVRAM不足エラーの原因はCPUにある?

高クロックだからこその問題

Intelの第13世代および第14世代のハイエンドCPUで高負荷時にVRAMエラーが発生する不具合が報告されているらしい。
マイナーチェンジ過ぎるモデル
主となる製品はCore i9 13900KSやCore i9 14900KSといった、最上級高クロックモデルが中心だったが、最近ではCore i7でも発生しているようで、単に高クロックモデルだから発生する、といった問題ではない様子。
具体的には、対象CPUを使用してUnreal Engine 4/5採用のゲームなどをプレイしている時に、シェーダーコンパイルなどのCPU負荷の高い処理を実行すると「VRAM不足エラー」が発生し、クラッシュするようだ。
VRAMのエラーという事でこのエラーが発生した時、ほとんどの場合グラフィックボードに何かしら問題が発生した、と思いがちだが、いろいろ調べて行くとどうもCPUに起因する問題であるらしい事が判明したようだ。
この不具合に関しては、以前から指摘されていたようだが、今年2月になってIntelから問題に関する報告を分析中であるコメントが出されていて、現在解決に向けて取り組んでいるようだ。

不安定な症状

今回のこの問題、動作クロックを引き下げて利用するアンダークロックという方法を使用すると一時的に解消した、という話もあり、シビアな調節の上で無理な高クロックを実現している事か問題の一因ではないか、とも考えられるが、厄介なのはCPUを使用開始してから数ヶ月後にこの問題が発生し始める事もあり、内部に何かしら損傷の蓄積が起きているのではないかと、いう事も考えられる。
この手の問題として思い出されるのは、昨年春にAMDでも3D V-Cacheを搭載した製品においてメモリオーバークロックを行うとコアが焼損した、という問題が出たことがある。

この時は問題が発生しない対応BIOSを適用させる事で解決したが、昨今のCPUやGPUでは、その性能を引き出すためにかなりリスキーなクロックアップをメーカー自身が実施している事もある。
Intelで発生した事がAMDで発生しないとも言えない事なので、利用する側はあまり極端なオーバークロックには十分気をつけた方がよいだろう。

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AM5は2025年以降まで続く

MSI MPG X670E CARBON WIFIはまだまだ使えそう。

急ぐIntel、慌てないAMD

各所で来年以降に登場する新ハードウェアに関する情報が出始めている。
マザーボード関係も結構慌ただしそうで、2024年代3四半期以降に予定されているチップセットの情報が中国を中心に出始めているという。
IntelはソケットがLGA1700ソケットからLGA1851ソケットへと変わり、チップセットもIntel 800 Seriesが登場、Arrow Lake-Sと共にローンチされるという。最上位はZ890、続いてB860、H610が予定されているようで、ワークステーション向けとしてW880、ビジネス向けとしてQ870が用意されるようである。DDR5-6400メモリに対応し、48GBメモリモジュールに対応、Wi-Fi 7、5Gbit Ethernetにも対応する予定だという。
一方AMDはというと、Intelの動きに柔軟に対応する構えのようで、一応AMD 700 Seriesチップセットを投入する予定ではある。だが、ソケットは従来同様AM5を採用し、チップセットとしても大きなジャンプアップはあまり考えていないようである。
というのも、今発売しているAMD 600 Seriesチップセットはもともと次世代CPUに対応するだけの十分な機能を持っており、機能面で現行Intelチップセットを上回っている。おそらくWi-Fi 7対応や5Gbit Ethernet対応などを急がなければ現行チップセットでも十二分な性能に対応しているという事で急いでいないのかもしれない。
実際、MSI MPG X670E CARBON WIFIを使う私から考えても、十二分な機能を持ち合わせているので、今はそれら性能を持て余している状況にある。
一部、ストレージのデータ転送が止まるような挙動をするのは気に食わないが、それが何に起因しているものかが分からないので、実際には製品の組合せでこれらの問題が出ないのかもしれない。

Arrow Lake-SとZen5

これら新チップセットと対になっているのが、IntelやAMDから登場する新アーキテクチャである。
IntelはArrow Lake-Sを投入し、AMDはZen5を投入する。
2024年には更なる新型が登場登場する時期は新チップセット群と同じ2024年の第3四半期と言われているので、実に読みやすい発売スケジュールと言えるが、時期的にもう1年もない時期という事になる。
これら新アーキテクチャは、性能的には順当な性能向上となるとは思うが、機能的に大きなジャンプアップは考えにくいと言える。
チップセットにしても、革命的なジャンプアップではないので、価格は据え置きで登場するのではないかと私は予想している。
…というか、ノートPC周りのAI PCというコンセプトの方が、この時期は騒がしいのではないかと思われる。
デスクトップでこの動きが見えてくるのは、まだ先ではないかと思う。
というか、デスクトップの場合はAI専用ユニットであるNPUを使うより、ソフトウェアでどうにか出来てしまうのかもしれないが。

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AI PCの時代

ノートPCは確実にAI利用を前提とした流れに乗ったが…。

Core Ultra

Intelがブランド名の変更を行い、開発コードネーム「Meteor Lake」を「Core Ultra」として発表した。OEMメーカーからは搭載製品が出荷開始されており、既に時代は新しい時代へと変化したと言える。
Core Ultraには、新しいタイプのプロセッサとしてNPU(Neural Processing Unit)が搭載されており、AI処理が従来よりも省電力かつ高効率で可能になるとされる。
デスクトップにNPU搭載CPUはこないのか?これらを搭載したPCを「AI PC」と呼び、2024年のトレンドになると言われている。
既にQualcommはSnapdragon X Elite、AMDはRyzen 8040シリーズとしてAI処理を効率良く行うユニットを内蔵したコアを発表している。Intelは今回のCore Ultraで最後発として発表した形になる。
ただ、Macの世界では一足先にNeural Processing Unitを内包したMシリーズが登場しており、Windows PCはMacの後塵を拝する形になってしまっている。
しかも、MacはノートPCとデスクトップPCで、基本的に同じコアを搭載した製品を展開している関係から、デスクトップPCでもAI処理が有効に働く状態となっているが、Windows PCの世界では、このNPUを搭載したデスクトップ用コアは未だ発表されておらず、今後このNPUを搭載したデスクトップ用コアがどのような形で定着するのか、私としては気になっている。
そもそも、デスクトップPCとノートPCという棲み分けを行うのか? という根本的なところから、未来はまだ見えていない。
Macは、基本的に搭載コア数を変更した形のもので性能差を付けているところがあり、既にPCとしての形に拘っていない節がある。
PCというものの考え方が、大きく転換しようとしている。
2024年はそんな年になるのかもしれない。

私の次のメインPC

私は2023年1月に、久々にAMDのRyzen7 7700Xを搭載したPCを自作した。
ホントに久々のAMDコアで、Intelとはまた違った手のかかり方をしたPCだと実感している。
約1年運用していて思ったのは、AMD製のハードウェアをメインとしたPCは、IntelをIntel製ハードウェアメインのPCより不安定な事が多いという事である。
これは私のPC構成なども影響しているのかもしれないが、特にストレージ周りに関して、データの送受信が途絶する時がある事に困っている。
ドライバを新しくすれば…とか、いろいろな対策を採ってはみたものの、確実にそうだとも言える原因でもないので、未だ改善されずにそのままになっている。
Intel製ハードウェアを利用していた時には一切なかった問題点である。
正直、もっとAMD製ハードウェアは安定していると思ったのだが、ストレージのデータが途中で読み込み待ちになったりして動画の再生が止まったりするところをみると、私の構成に問題があるのか、それともドライバ類に何か問題があるのか、よくは分からないがIntel製ハードウェアを使用していた時よりずっと不安定な挙動を見せる。
なので、次のメインPCを構成する時はIntelに逆戻りかな、と思っている。
その時、おそらく時代はAI PCの流れに変わった時だと思うのだが、その時、ノートPCとデスクトップPCの垣根は今ほどない時代に変わっているのではないかと予想している。
Intelが発表したMeteor Lakeの後継テクノロジーは、もうノートPCとかデスクトップPCとかの棲み分けをしていないのではないかと思っているのである。
それこそ、Macと同じような状況に、Windowsも置かれているのではないかという事である。

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第14世代Core、発売

Raptor Lake Refreshが遂に登場。でもマイナーチェンジに違いはない。

14900Kはついに6GHzへ

10月17日22:00、Intelの第14世代Coreが遂に発売となった。
深夜販売という事になっていたようだが、秋葉原の店頭は比較的閑散としていたようで、押し寄せる客でごったがえし…という事にはならなかったようだ。
第14世代Coreは、その中身は第13世代CoreであるRaptor Lakeのマイナーチェンジといったもので、モデルによってはコア数も増えているものの、ほとんどはクロックの引き上げ程度の違いしかない。
またIntelでは対応ソケットが切り替わるのがとても早いが、今回は第13世代と同じLGA1700か採用されている所からみても、マイナーチェンジである事は疑いようのないところと言えるかも知れない。
マイナーチェンジ過ぎるモデル各世代の最上位モデルには、オーバークロック機能としてTurbo Boost Max 3.0という区分とThermal Velocity Boostという区分でクロックがさらに上昇する機能が備わっているが、今回の第14世代CoreであるCore i9-14900Kでは、ついにThermal Velocity Boostにおいて動作クロックが6GHzに到達した。
今までは特別モデルなどで動作クロックが6GHzというモデルが存在していたが、今回は特別モデルではなく、標準製品で6GHzに到達した事になる。
何ともIntelの力業と言ってしまえばそれまでだが、これで性能的にAMDを超える事ができるということなのだろう。
…消費電力がバカにならんな(-_-;)

ベンチマーク

とりあえず、既にベンチマーク結果を掲載しているところもあるので、そちらを確認する。

結果から言えば…性能は間違いなくトップを走るが、予想通り消費電力がバカ高い結果になっている。
比較対象としてライバルになるAMD Ryzen9 7950X3Dとの比較もあるが、性能だけ見ればダントツである。だが、それを超える消費電力の高さから、ワットパフォーマンスで比べると、Ryzen9 7950X3Dが39~90%も良好な結果を出している。
意外だったのは、Core i5-14600Kが思いの外、ゲームにおけるワットパフォーマンスが高いという事。Pコア6つ+Eコア8つの20スレッドという性能だが、これが過剰に消費する電力を抑えているのかもしれない。
今回の結果から感じられるのは、ゲームで使用するならRyzenの3D V-Cache搭載コアか、もしくはIntel Core i5-14600Kが良い、といった感じである。
最高性能を追い求める事を否定するわけではないが、イマドキの性能ならほとんどゲームの要求性能を満たしているだろうし、その上での過剰性能をどこまで求めるか、といった結果になる。過剰性能なので、できれば効率はよくしたいところ。そう考えると、選ぶモデルによっては比効率な結果を招くような感じになってしまう。
パワーで押し切るというのも否定はしないが、そろそろIntelの本気が見たいところである。

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4種混合のMeteor Lake

Intelが次期CPU「Meteor Lake」の詳細を明らかにした。

Eコアが2種類に?

Intelは第12世代CoreのAlder Lakeから、高性能コアであるPコア、高効率コアであるEコアの異なるCPUを混載するハイブリッドアーキテクチャを採用した。
これによって、重い処理はPコアが担当し、繰り返し処理が多い軽めの処理をEコアが担当するという、スレッドを分業化させて性能と省電力性を両立するスタイルを確立した。
ただ、この処理を分ける部分、つまりIntel Thread Directorと呼ばれる部分が、ちゃんと処理を正しく振り分けないと、思わぬミスマッチが発生するという問題があるのだが、これも時間とともに改良され、大凡問題なく敵した形で処理が行われるようになり、かなりの性能を発揮するに至っている。
デスクトップにコレが来るといいのだが…今回、Intelが情報を開示した「Meteor Lake」は、CPUそのものがチップレット構造を採り、CPU部分であるコンピュートタイル、GPU部分であるグラフィックスタイル、汎用処理を受け持つSoC部分と思しきSoCタイル、I/Oを受け持つIOタイルの4つのチップレット(Intelはこれをタイルと呼んでいる)をベースタイルの上に3D方向に積層させて構成している。
PコアやEコアは、この中のコンピュートタイルの中の話ではあるのだが、CPUそのものがチップレット構造を採り、さらにその中にも分業構成を取り込む事で、Meteor Lakeの高性能、省電力を実現している。
しかも今回は省電力を担うEコアも、さらに低電力で動作するEコアを別で搭載することで、ARM CPUにより近づくための省電力化が実現しているという。
より詳細なセッティングを可能にしたが、より複雑化した感もあるが、Meteor Lakeはここ最近の中では大きな変革をもったCPUになったと言える。

NPU搭載

Meteor Lakeから、IntelのCPUにもAI用のユニットを搭載している。
それをNPUと言ったりするのだが、昨今は生成AIでのテキスト生成、画像生成、音声認識などの処理がトレンドという事もあって、IntelもこのMeteor Lakeから搭載する事を発信していた。
ただ、今まではこのNPUの詳細が説明されていなかったのだが、Intelはついにその情報を公開した。
Intelが買収したMovidiusという企業が開発してきたVPUがベースとなっているようで、低消費電力でAI推論が可能になる特徴があるという。
このNPUは、前述説明したSoCタイルに内蔵されており、2つのNeural Compute Engineという演算器を持っている。このEngineがマシンラーニングやディープラーニングの処理を行うのだが、演算としてはFP16とINT8の制度を利用して行列演算する。1つのEngineあたり1クロックサイクルで2,048の処理が可能で、NPU内部にはScratchpad RAMというローカルメモリ(SRAM)が内蔵されている。低消費電力で効率がよいのは、この内蔵したメモリを利用する事によって、SoCタイルにあるメモリコントローラへ頻繁にアクセスしなくても演算が可能になっている事に起因する。
具体的な性能指標として、Intelが公開した情報によると、CPUで43.3秒かかる画像生成処理に対し、GPUは14.5秒、NPUだと20.7秒との事。GPUの方が処理が速いじゃないかと思うかもしれないが、消費電力ではCPUが40W、GPUが37Wに対しNPUはわずか10Wと電力効率はCPUに比して7.8杯になるという。
AMDのRyzen 7040シリーズにもRyzen AIというNPUのようなユニットが搭載されているが、今後はCPU部分だけでなく、NPU部分の性能も評価対象となるのではないかと考えると、ヘテロジニアスコア(異種混合コア)は評価がとても難しいと考えざるを得ない。

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Intel、NUC事業終了

10年にわたる純正小型PCはその役目を終えたようだ。

Next Unit of Computing

IntelがNext Unit of Computing(NUC)という小型PCのソリューションを発表したのは2012年のことだったと思う。
その翌年には実際の製品が投入され、初代に搭載されたCPUはSandy BridgeベースのCeleronだった。2代目になるとIvy BridgeベースのCore i3やi5が搭載され、その後10世代にわたって製品が投入された。
途中、性能に振り切る形だけでなく、省電力性を追求して第7、8世代のGemini LakeベースのPentiumやCeleronの製品が投入されたりもしたが、小型で使えるPCというコンセプトで製品開発が行われていたと思う。
小型PCの夢は永遠である
そんなIntel NUCだが、Intelがこの事業への直接投資を停止したことが明らかになった。
実際には、製造のことなどに関してのコメントは出ていないようだが、投資しないということは事業そのものを終わらせるということだろう。
いろいろな事情があって、事業を終わらせるのだろうが、一つの側面で見ると、IntelでNUCを開発するという必要性がもうなくなった、と見る事ができる。
というのも、最近は小型で高性能なPCがいろいろなメーカーから発売されており、MINISFORUMやBeelink、CHUWI、GMKtecといったメーカーから多岐にわたる製品が投入されている。
しかも価格的にもリーズナブルなところもあり、あえてIntelがそこに注力する必要を感じることがなくなった、ということなのかもしれない。
Intelとしては、現在発売されているNUC製品の継続的なサポートは行われるようなので、製品を持っている人は安心してもよいのではないかと思う。…ま、その必要性を感じている人はそう多くはないと思うが。

製造プロセスの微細化

NUCという小型PCがまず実現可能になったという背景には、絶対的に半導体の微細化プロセスが進んだという側面は外せないと言える。
ノートPCもそうだが、まず半導体の性能が微細化によって進んだことで、GPUを内蔵しつつ、マザーボードそのものの機能を統合、全体のフットプリントの縮小が可能になったことで、とにかく小さく作る事が可能になったことが、NUCの登場を促したことは間違いない。
また、ノートPCと異なり、デスク上でタイピングしやすいキーボードを使用し、それでいてデスク上をスッキリさせるということで考えると、デスクトップタイプの小さなものが理想になる。ノートPCのキーボードだと、大量かつ高速に処理する入力作業には不向きだし、そうしたニーズを考えると、NUCという考え方はデスクトップPCの一つの側面の正統進化だったように思う。
現在では、搭載するGPUの性能が向上し、さらにCPUのマルチコア化も進んだ事で、小さいPCであっても性能はあまりある(さすがにコレは言い過ぎか)、なんてPCもある。
しかも小型PCでありながら、ディスクリートGPUを搭載したものもあったりと、その多様性はこの10年で随分と広がったように思う。
この方向で考えると、何もIntelだけがこのようなスタイルを進めていたわけではなく、AMDのAPUがその後押しを随分としていたように思う。
そもそもAMDのAPUはCPUとGPUのヘテロジニアスコア(異種混合コア)を実現し、搭載するキャッシュメモリの共有化を進めて効率化を図るところにその真髄があった。
実際、APUは性能的に優れているところが多く、AMDのCPUアーキテクチャがIntelと同等だったなら、性能はAPUの方が上だったと言える。
そうしたCPUやGPUの進化と共に、製造プロセスの微細化が進み、システム全体の小型化が進んだことがNUCという方向性を作り上げてきたことは間違いない。

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やはりAMD構成のPCは高いのか?

知人が新PCの導入を行った。AMD好きだったはずだが、Intel構成だった。

AMDパーツは高い?

知人がIntel CPU搭載のドスパラ既製品PCを購入したらしい。
この知人、かつてはAMD CPUを愛用していた人で、どちらかといえばマイノリティ派なのでIntelよりはAMDを選ぶというタイプだった。
とにかくマジョリティよりはマイノリティといった選択基準があったので、私はその知人が次のPCに乗り換えるとしたら、AMD構成のPCになるだろうと思っていた。
ところが突然のドスパラ既製品PC購入の話が出て、しかもCPUはIntelのCore i7-13700をチョイスしたという。…いや、正確には13世代の16コア24スレッドという話しか聞いていないのだが、ドスパラの既製品で考えれば、おそらくはCore i7-13700だろうと予想した。
まぁ、今回の場合、構成部品の詳細が何であるかというのはあまり意味はない。
知人がIntelを選んだという事に意味があるのであり、マイノリティ派だったところがマジョリティを選択した、という事にこそ意味がある。
その知人にこの話を聞いた際、自分はAMDパーツで自作した事を話したのだが、知人も一度はAMDパーツで検討はしたらしい。
だが、そこから出た結論として、やはりコストが予想を大きく超えた、という事がIntelを後押しした理由だったようだ。
私も当初はAMDで自作を検討した時、その価格のあまりの高さにメインPCを組む事を断念した事は、当Blogで幾度となく記事にした。

リンクした記事以外にも、当Blogの検索枠で「メインPC」と検索すれば、わんさか記事が出てくるハズである。
家庭の事情で延期したり、GPUの価格が高すぎて先延ばしにしたり、理由は様々だが、メインPCをどう構成するかで悩み、そしてタイミングで悩み続けていた。
Ryzen 7000シリーズを選択した時、何故価格が一気に高騰したかといえば、やはりメモリがDDR5にしか対応していないという事、そしてマザーボードそのものが高価格化したコトがとても大きな理由だと言える。チップセットが高すぎた、という事が理由なのかはわからないが、X670系だけでなくB650系ですら、高かったのである。

今考えるとどうなのか?

Intelの第12世代や第13世代を搭載したPCの価格が安く収まっていたのには、やはり対応メモリとしてDDR4がまだサポートされていた、という事がとても大きい。 今後の主流メモリになる事は間違いない今でこそDDR5メモリの価格も安くなってきているが、当時はDDR4とDDR5の価格では雲泥の差があった。
実際、私がメインPCを購入した時は、DDR5メモリの16GBモジュールが2枚セットで3万円くらいだった。それにくらべDDR4は1万円台半ばから前半だった。メモリだけでもこの違いである。
マザーボードに関して言えば、AM5のマザーボードは5万円台が当たり前で、LGA1700のマザーボードはDDR4メモリ仕様なら2万円程度のものが存在していた。
今はAM5のマザーボードでもチップセットとしてA620という廉価チップセットが登場したので、随分と価格が安くなってきた。
おそらく、今の商品展開なら、AMDで構成しても価格は比較的低いところで安定したかもしれない。
知人も一度は検討したと言っていたが、おそらく時期的にAMD構成はとても許容できる価格ではなかったのだろう。

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8コアCPUへの憧れ

Intelはもうこの流れとは違うけれど。

6コアを選んだ後

私が今使用しているメインPCのコアは、Intel Core i7-8700Kである。
第8世代の6コア12スレッドのCPUで、当時はIntelの中でもハイエンドに近い製品だった。
当時は4コア8スレッドが主力という状態が数年にわたって続いていて、まだAMDもRyzenという切り札を出してくる前の時期だった事から、4コア以上のCPUそのものが貴重で、ようやく4コア以上のCPUがXeon以外で出てきたと話題になったぐらいである。
だが、この第8世代Coreより以降、すぐに8コア16スレッドのCPU「Core i7-9700K」が登場し、私からすると6コア12スレッドのCPUは何とも中途半端なCPUだという認識になってしまった。
たった1年でコチラがスタンダードに…。というのは、PCは大凡4の倍数で構成されるものが多いので、8コアとか16スレッドという響きは、構成単位としては決まりが良く、美しく感じられたのである。
私の6コアハイエンド人生は、ほぼ1年で落差の大きい型落ちになり、私の中ではどこかしら「8コア16スレッド」の憧れは強くなった。
それ以降、10コア20スレッドとか12コア24スレッドというCPUが出てきてはいるが、私の中では8コア16スレッドという一つの基準が神格化されてしまった事から、次導入するPCは最低でも8コア16スレッドで、という意識が根付いてしまった。
私がAlder Lakeなら12700系、Raptor Lakeなら13700系、Ryzen7なら5700Xや5800Xに拘る最大の理由は、これらのコアが8コア16スレッド、もしくは8コア+高効率コアの構成だからに他ならない。

憧れゆえに

ただ、現在のIntel第12世代Coreや第13世代Core、AMDのRyzen Zen3コアなどは、私が所有するCore i7-8700Kの時のコアよりもアーキテクチャそのものが進化していて、そもそもの単一コア性能はずっと向上している。シングルスレッドのベンチマーク結果を見れば一目瞭然である。
なので、コア数で考えるより最終的な絶対性能で考え、自分にあった性能のPCを組む方がコスト的にも利点が多い。
なので、私自身もそれを理解していないわけではないので、知人のPC構成を助言する時などは積極的に6コア製品などを進めたりするのだが、何故か自分のPCとなると、この考え方がすっ飛んでしまい、最終的に8コア製品の検討を進めてしまう。
私がメインPCの構成を考える上で、どうしてもコストが嵩んでいくのは、これが最大の理由になっている事は、自分でも十分わかっているのである。
これが憧れというものであり、拘りというものなのだ、という事を理解していながら、結果、それを最優先にしてしまっている。
これではメインPCの検討はなかなか進まないのもうなずける。

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Raptor Lake、発売

Intel第13世代CoreのRaptor Lakeの発売が始まった。

性能は確かに高い

Alder Lakeの強化版と言われるRaptor Lakeが遂に発売となった。
Tech系サイトでは、最上位モデルであるCore i9-13900Kのベンチマークレビューが次々と発表され、その性能の高さを解説しているが、大凡それらのデータを見ていて、ゲームであれば頭一つ飛び抜ける性能であっても、一般アプリではRyzen9 7950Xと拮抗するような結果も見られ、ライバル同士が非常に良い仕事をしている環境になったな、と個人的に思えている。
確かに性能は高い。
だが、Ryzen9 7950Xと同様に、その結果から生まれる発熱や消費電力の大きさは、過去のCPUと比較すると、傾向が全く異なる領域に突入したようにも見受けられる。
コア数が増えれば電力も多く消費しそうだが…最近のCPUは、消費電力であれ、発熱量であれ、リミッターを設け、そのリミッターにひっかける感じでサーマルスロットリングを働かせながらハードウェアを守り、ギリギリのところで性能を出して行く…そんな運用方法が採られはじめた。
だから最近のCPUは95℃~100℃くらいの間を常に行き来していて、その時の条件で出せる精一杯の性能で勝負してきている。
よって放熱性の高いCPUクーラーと組み合わせれば組み合わせるほど、CPUの性能は高くなると言えるので、ココまで来るとCPUの性能というよりはクーラーの性能で能力が変わるCPUという言い方になるのかもしれない。
どちらにしても、高性能を出そうと思えば空冷はあり得ない時代であり、最低でも240mmラジエーターの簡易水冷、もしくは360mmラジエーターの簡易水冷ユニットは必須と言える時代になったと言える。

気になるのは真ん中

で、Tech系サイトは大凡最上位モデルのベンチマーク結果を掲載している。
だが、私が気にしているのは実はその下のモデルのベンチマークであり、性能の傾向である。今回の第13世代Coreであれば、Core i7-13700Kだったり、RyzenならRyzen7 7700Xの性能である。
これでもCPU価格が7万円クラスになるので、安いとは言いにくい製品ではあるが、私が手を出せる限界点がおそらくはこのクラスになるので、正直、今情報として出ている最上位クラスのベンチマークよりも、真ん中に位置するクラスのデータが示される方が、私としてはありがたい話である。
この真ん中に来る製品に関しても、もう少しすれば情報は出てくるだろうが、どちらにしても従来よりも発熱と消費電力が大変な事になっている事は間違いないと言える。
そもそも性能の出し方が今までと異なるのだから、今までと同じような感じで付き合おうとすれば、失敗する事になる。
よく勘違いされがちなのだが、製造プロセスの微細化が進み、従来より省電力化される事で、発熱量は小さくなると思われるケースがある。この言葉はある意味間違っていないが、実は別の問題を引き起こす話にもなる。
それが熱スポットの集中である。微細化して小さくなるのは良いが、その小さな面積のところに今までよりも省電力とはいえ、より集中した部分に熱が集まるようになるため、排熱はより高度なものが必要になるのである。最近の空冷CPUクーラーがヒートパイプを使用していたりするのは、その熱スポットに集まった熱をより効率的に分散させる為に使用されている。
こうした事情から、新世代になればなるほど、より熱伝導性を気にした発熱対策が必要で、世代が進めば進むほど、そうした部分に苦労してくる事になる。
最近はそれに合わせて高性能化させるためにより電力を消費するような設定にしているので、排熱はさらに難しくなっている、というワケである。

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第13世代Coreの価格

Intel第13世代Coreの国内価格が見えた。

発売は10月20日夜から

Intel第13世代CoreであるRaptor Lakeの日本国内価格が見え始めた。
発売は早い所で10月20日の夜22時からとなっていて、深夜販売を行わない店舗ではその翌日からの発売となると見られる。
気になる価格だが、Core i9-13900Kが105,800円、Core i9-13900KFが102,800円、Core i7-13700Kが74,800円、Core i7-13700KFが71,800円、Core i5-13600Kが57,800円、Core i5-13600KFが54,800円となっているようだ。
これらの価格はツクモの価格ではあるが、おそらく他店舗も同じと思われる。
微妙にRyzen 7000シリーズを下回るような価格設定にしているところが後発組らしいやり方だなと思うと同時に、第12世代よりランクアップした価格で来たあたりも、AMDに合わせてきた感じがして、少し残念ではある。
というのも、第12世代Core i7-12700Kの初値は58,600円というプライスだったが、第13世代Core i7-13700Kは74,800円に値上がりしている。
Eコアとキャッシュ増量のRaptor Lakeコア数が増えているのだからコアあたりの価格で見るのが妥当、と言われるかもしれないが、従来はグレードで価格が推移してきていたところがあるので、半導体不足を経験した後ではそういった考え方からして変わってしまった、と捉えるしかないのかもしれない。
ただ、今回の13700Kのコア数は、第12世代の12900Kと同様のPコア8+Eコア8という構成なので、コア数は実は第12世代最上位と同じものになっている事を考えると、第12世代最上位の価格帯がスライドした、という考え方もできる。やはりコア数で価格を決めた、と言えるのかも知れない。

狙いは第12世代か?

さて、当Blogで幾度となく、私の次期メインPCの話をしてきているわけだが、Intel第13世代の価格的情報が出てきた事で、これで最終的な判断ができるようになったのではないか、と考える。
極論から言うと、世代は新しければ新しいほど良いという事は変わらない。時間と共にアップデートされていく中で、世代が古い事でアップデートできないという事が起こりうるのがPCの世界なので、世代は新しいことが望まれる。
一方、価格対効果で考えると、決して最新世代が正しいとは言えない。新型が登場することで型落ち品となった製品は、コスト的にとても魅力的であり、その性能は最新世代と極端に変わる事は少ない。
では、現在私が新PCを組立てるとしたら、そのプラットフォームは何が一番よいのか?
単刀直入に言うと、ベストは第13世代Core i7-13700Kと言える。
だが、価格的に7万円台は厳しいとなると、次の候補は第12世代Core i7-12700Kになる。
価格的には5万円台でありながら、Pコアは8コアあり、Eコアを4コア持つ事で、バックグラウンドで処理するプログラムはEコアに任せられ、かつパワーの必要な処理はPコア8つで処理する事で、ライバルであるRyzen 5000シリーズとは互角以上に戦える。
ただ、第13世代はL2、L3キャッシュの強化とEコアが増量されている事で、バックグラウンド処理に必要なリソースがとても豊富。全体的なパフォーマンスはさらに上を行く事を考えると、その性能向上分が第13世代と第12世代の差額の2万円という事になる。この2万円をどう考えるか、次第である。

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何度目かの自作PCの検討

予算立てはまだだけれど、一応考えてみる。

芋づる式に変わる環境

私のメインPCの入れ替えに関しては、その時期をずっと延期してきた。
結構大きな額となるため、入れ替えるとなるとそれなりの予算を取らないといけないからというのがその理由で、ここ最近さらにPCパーツの単価が上昇している事から、より一層自作PCを組立てるのが難しい状況になってきている。
こうした理由から、PCでなくモニタを最近のHDR対応のものに先に更新したワケだが、結果的にそれが原因でGPUを入れ替える必要が出てしまい、Radeon系からGeForce系にするため、またしても予算を追加投入してしまった。
ところが、このGPUの変更によって、今度はCPUが新しいGPUのボトルネックになっている可能性が出てきてしまい、結局新PCへと移行した方がよい、という判断が早まった感じすらある。
これらの経緯は当Blogにて全て情報を書いてきた。ハッキリいって、何かを一つ新しい句したら、それに引きずられる形で全てのものを新しくしていく必要が出てきた感じである。
そうは言っても予算が無限にあるわけではないので、優先順位を付けつつ、今後の入れ替えを徐々に進めていく事になるだろう。

Intelか、AMDか

さて、実際に自作PCを組んでいく事になると、考えねばならないのは、そのハードプラットフォームをIntelで行くか、それともAMDで行くか、という二択問題である。
現在のメインPCは、AMDがRyzenを発売する前の弱体化していた時代のものなので、Intel一択という状況だったのだが、今回はAMDも随分と攻勢に出ている状況で、そのCPU性能は拮抗している状態である。
特に、今日まさに今の状況では、Ryzenは7000シリーズが登場し、その性能は一歩抜きん出た状況。但し、この状況が続くのは10月21日ごろまでで、それ以降はIntelも第13世代Coreを投入してくるので、また性能は拮抗、もしくはIntelが一歩抜きん出る可能性がある。
今まさに悩み時な状況だが、この2つの選択肢は、私にとって少々厳しい選択肢でもある。
それはそのコストである。
グリスは導電性のないものを選びたいRyzen 7000シリーズはCPUは思ったより高くはならなかったものの、マザーボードの価格が半端なく高くなってしまい、PC構成コストが増大してしまっている。
Intelにしても、第13世代は第12世代と同じソケットを使用している関係から、既存製品でも利用可能になっているが、私の場合はどちらにしてもマザーボードからの購入になるため、それらのパーツ価格が安くないとコストは嵩んでしまう。
GPUは先日購入したGeForce RTX 3070Tiをそのまま流用したとしても、他のパーツ価格が高い事で、全体のコストはかなりのものになる。
これなら完成PCを買った方が満足度高いんじゃないだろうか? とすら思える。
Intelであろうが、AMDであろうが、かなりのコストを覚悟する必要はある事は間違いないので、今は双方出揃ったタイミングまでは様子見という事になるだろう。

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