DQHDのQLED曲面モニタ

5,120×1,440ドットのゲーミングモニタ。

Odyssey G9

Samsung Electronicsが、49型QLED曲面ゲーミングディスプレイ「Odyssey G9」を今月6月よりグローバル展開すると発表した。
この「Odyssey G9」は、今年初めに行われたCES 2020にて発表された製品で、当初は2020年末頃に発売予定としていた製品である。
見よ、この曲率を…QLED、つまり量子ドットLEDバックライト技術を採用する歪曲率1,000Rの液晶パネルを採用しており、その解像度はDQHD(Dual Quad High-Definition:5,120×1,440ドット)という、32:9のモニタになる。
リフレッシュレート240Hz、中間色1msの高リフレッシュレートをサポートし、最大1,000cd/平方mの高輝度HDR表示も可能という、あらゆる理想が実現するモニタと言える。これだけの高リフレッシュレートを実現しているので、FreeSync Premium Pro、G-SYNC Compatibleもサポートする。ゲーミングディスプレイと銘打っているだけの事はある。
この高性能パネルは駆動方式はVAで、色数は10億7千万色、コントラスト比2,500:1、基本輝度420cd/平方m、sRGBカバー率125%、AdobeRGBカバー率92%と、かなり私の理想に近い性能を持っている。
インターフェースは、DisplayPort1.4、HDMI2.0、USB3.0 Hub(ダウンストリーム×2)、ヘッドフォン端子で、それぞれがいくつあるのかはまだ不明である。
置き場所さえあれば実に欲しいと思える製品なのだが、現時点ではその価格もまだ不明で謎の多い製品である。

LG製品の対抗馬は?

これだけの高性能パネルとなると、製造できるメーカーは限られるわけだが、個人的にはライバルとなるであろうLG Electronicsでも製造可能なのではないかと考える。
横長ディスプレイは、一般的なディスプレイからすると需要は高くはないが、最近はゲーミング用途を中心に横長モニタが注目されているところはある。
というのも、縦にある程度の長さがあるよりも、横に長さがある方が臨場感を出せるという事と、単純に視野角が広がる事から、同じゲームをプレイしていても没入感が全く違うと言える。
また、クリエイティブな用途でも、横長にする事でいろいろな画面を横並びにして表示できるので、作業効率が上がる。4Kモニタよりも実は単純に横長の方がいい、という人もいるぐらいである。
そうした需要に応える製品を開発するかどうかにもよるが、ぜひLGにも対抗製品を開発してもらいたいところである。
ただ…たしかLG Electronicsも、CES 2020で横長モニタをいくつか展示していたハズなので、近々そういった製品の発売があるのではないかと思うが、現時点では「34GN850-B」という34型の3,440×1,440ドットのモニタを発売したのみで、そこから次のアクションがない。

本命はMini LED?

液晶モニタの技術としては、他にもMini LEDをバックライトに採用するパネルや、Micro LEDを採用したパネルなど、まだまだ今後の技術革新で製品化されるパネルは多い。
だが、現時点で確実な実用化が見えているのはMini LEDをバックライトとするパネルである。
小さなLEDを敷き詰めたものをバックライトとして使用して、よりパネル全体の輝度を細かく制御する事で、よりコントラストの高いパネルを実現する方法で、Micro LEDよりはコストも抑えられるため、より実現可能と言われている。
Micro LEDは、画素そのものを赤、緑、青のLEDで構成して制御する方式なので、有機ELパネルのような鮮やかなパネルを実現できるが、1画素に3つのLEDを並べる必要がある為、4K画質なら3,840×2,160×3=24,883,200個のLEDを並べる関係から、そのコストはバカにならない。もっと生産技術が安定し、歩留りが上がらないとコストも抑えられず、安定して供給できないので、現時点での次世代パネルとしてはMini LEDをバックライトとして使用するパネルが期待されているというわけである。
噂では、Appleの次期Mac等でMini LED採用パネルを検討しているという話もあるので、何か爆発的に普及する起爆剤があれば、あっという間に浸透する可能性もある。
そうしたパネルが出てくれば、PC用液晶モニタ製品も新しい方式のパネルを採用して、今よりもリフレッシュレートが高く、またHDRに適した製品が安価で増えていく可能性があるが、今の段階では残念ながらまだそこに届いていない。
私が望むような液晶モニタが登場するには、もう少し技術革新が必要なのかもしれない。

というわけで、とりあえずSamsungから49型の32:9液晶モニタが登場する。
製品としてはよくできた製品ではあるが、価格は相当に高いと予想され、購入者は限定されるかもしれない。
ただ、世の中は確実に次の技術へと進んでいるので、来年以降に別方式の液晶パネルで同等以上の製品が出てくる可能性もある。
そうした技術と時期、価格のバランスを考え、今後の製品を予測して購入を検討するのが良いだろう。

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武上

18歳の時、人生の最大の選択ミスをしてしまい、いきついた場所として山梨県人となる。 その後、建設業に身を投じ、資格をいくつか取得するものの、結局自分の性格と合わない事を理由に上京。 上京後、世間で話題になりつつあったアニメ・ゲームを主体とする業界の人間となり、デジタルコンテンツ業界を含む数々の著名人と同じ土俵でマルチメディアな仕事をするに至る。 一見華やかなメディアの世界の、その闇の深さたるやハンパない事こそ世間に何となく知られてはいるが、業界人しか知らないその氷山の全体像を十分すぎるほど目の当たりにした後、家庭の事情で再び甲州へと帰還。 しかし、この帰還も人生の選択ミスだったかもしれないなぁ…と今では思うものの、時既に遅し。 今は地元の製造業を営む会社の総務・品質保証という地味ではあるものの堅実な職につき、いつか再びやってくるだろう夢の実現を信じて隠者的生活を送っている…ハズだったのだが、またしても周囲の事情で運命は波乱の様相を見せ始めた。 私の人生は一体どの方向を向いているというのだろうか? ちなみに筆者はPCとの付き合いはかなり長いと思っている。 古くはPC-8801 mk2 SR、X1 Turbo、X68000、FM-Towns、PC-9801シリーズ(互換機含む)、PowerMAC 9500等をリアルタイムで使い、その後は、Windows PCの自作機を中心に現在に続いている。 デジタルガジェットに関しては興味もある事から、その時代の時々において、いろいろ使ったり調べたりして、専門家ほどではないが知識は蓄えてきたと思っている。 そうした経験を元に、今の時代へ情報発信させてもらっている。少々くどい言い回しが多いかも知れないが、お付き合いいただけるとありがたい。 連絡先:takegami@angel-halo.com (@を小文字にしてください)

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