Ryzen7 5700X

昨日はRyzen7 5800X3Dの話をしたが、ある意味こちらが本命か?

遅れた本命

AMDのZen3アーキテクチャCPUの中で、ハイエンドクラスに属するCPUが発売されたのは2020年11月の事。もう1年半近く前の事だが、下位モデルとしてRyzen5 5600Xは存在するものの、ハイエンドクラスのもう一つ下のランクという製品が存在せず、何かこう、中抜けした製品群という感じだった。
Ryzen7 5800Xは、そのTDPが105Wと多少高めだった事もあり、動作クロックなどの関係からかなり発熱するCPUという感じだった。実際には、Intelの同性能CPUと比較しても高発熱モデルというわけではないのだが、それでもTDP105Wというのは、従来のCPUよりも発熱する事を意味していたし、実際そうだった。
もしこれの65W版があったなら…。
そう思った人も多かったのではないかと思う。
その本命とも言えるRyzen7 5700Xが先日発売となった。
このモデルの最大の特徴は、クロックを除いて中身はRyzen7 5800Xと同じだがそのTDPが65Wになっている、という事である。
つまり、ハイエンドクラスの構成でありながら、省電力モデルである、という事である。
高性能だが低電力
しかも価格はRyzen7 5800Xよりも安く設定されており、発熱量が落ちる関係からシステム全体の構成価格が低く設定できるというメリットもある。
Ryzen7 5800Xは、比較的ホットスポットの温度が高くなる関係から、CPUクーラーに関してはそれなりのものを用意しないと厳しい側面があったが、Ryzen7 5700XであればTDP65Wという事もあって、CPUクーラー能力もそこまで大がかりなものが必要というワケでもない。
ある意味、価格を抑えつつそこそこ高性能を狙って行くというスタンスであれば、Ryzen7 5700Xは最適解になりうる製品と言える。これはまさに遅すぎた本命と言える製品である。

驚くべき低温度

さて、こうしたベンチマークを自分で追うのはもう無理な状況なので、レビューサイトでその実力を見ていく事にする。
今回はimpressの「PC Watch & AKIBA PC Hotline! plus DVPR」通称PADがYouTubeで検証動画を挙げていたので、それを参考にする。

予想していた通りだが、Ryzen7 5700Xは、その性能は確かにRyzen7 5800Xに劣るものではあるが、その性能差は圧倒的という程ではなかった。
逆に、それほど近しい性能を出しながら、そのCPU温度の低さは驚愕すべきものがある。
ハイエンドな水冷環境でテストした、との事だが、Ryzen7 5800Xが80度に張り付く温度を示す一方で、同条件でRyzen7 5700Xはなんと50度という低さ。
他の下位モデルよりも下回る温度で、これは8コアというコアを分散している事から起きる現象だという。
やはりこのTDP65Wという省電力性は、圧倒的にRyzen7 5700Xを扱いやすいCPUにしていると言える。Ryzen7 5800Xが登場した時は扱いにくいCPUと言われたが、ようやく8コア/16スレッドでとても扱いやすいCPUが登場したな、という事を、このレビューでは明確にしているように思う。

迷うはRyzen7 5700G

ただ、Ryzen7 5700Xと迷うCPUが一つある。
それは内蔵GPUを持つ、Ryzen7 5700Gである。
こちらはAPUなので、GPUが内蔵されているという強みを持つ。それでいてTDPも65Wなので、どちらかと言えばRyzen7 5700Gの方がお買い得のように感じられる。
だが、Ryzen7 5700Gは、L3キャッシュの容量が少ないという事と、PCIeのバージョンが3までと、性能的に劣る部分がある。特にゲーミングで見た時、L3キャッシュ容量はクリティカルに響いてくるので、少しでもL3キャッシュが多い方が性能が出る事は間違いない。
なので、ビデオカードを必要としないのであれば確実にRyzen7 5700Xが選択肢になるし、ビデオ性能がどうしても必要となればRyzen7 5700Gを選択するしかない。
ミドルレンジといいつつも、Ryzen7 5700Xはミドルハイのクラスになるので、ビデオカードもそれなりの高性能品を奢ろうという選択肢もあるだろう。どちらかというと、その組合せは私としても最適解ではないかと思う。
例えば…Ryzen7 5700XとRyzen RX 6700 XTの組合せ、或いはRadeon RX 6800や6800 XTとできれば、GPUに偏りすぎと言えるかも知れないが、イマドキのゲーミングPCの中でも比較的省電力かつ高性能というPCに出来るのではないかと思う。

というか、これだと予算的に低めに抑える事ができるかもしれない。
…いや、やはりビデオカードの価格がネックになるのか。

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武上

18歳の時、人生の最大の選択ミスをしてしまい、いきついた場所として山梨県人となる。 その後、建設業に身を投じ、資格をいくつか取得するものの、結局自分の性格と合わない事を理由に上京。 上京後、世間で話題になりつつあったアニメ・ゲームを主体とする業界の人間となり、デジタルコンテンツ業界を含む数々の著名人と同じ土俵でマルチメディアな仕事をするに至る。 一見華やかなメディアの世界の、その闇の深さたるやハンパない事こそ世間に何となく知られてはいるが、業界人しか知らないその氷山の全体像を十分すぎるほど目の当たりにした後、家庭の事情で再び甲州へと帰還。 しかし、この帰還も人生の選択ミスだったかもしれないなぁ…と今では思うものの、時既に遅し。 今は地元の製造業を営む会社の総務・品質保証という地味ではあるものの堅実な職につき、いつか再びやってくるだろう夢の実現を信じて隠者的生活を送っている…ハズだったのだが、またしても周囲の事情で運命は波乱の様相を見せ始めた。 私の人生は一体どの方向を向いているというのだろうか? ちなみに筆者はPCとの付き合いはかなり長いと思っている。 古くはPC-8801 mk2 SR、X1 Turbo、X68000、FM-Towns、PC-9801シリーズ(互換機含む)、PowerMAC 9500等をリアルタイムで使い、その後は、Windows PCの自作機を中心に現在に続いている。 デジタルガジェットに関しては興味もある事から、その時代の時々において、いろいろ使ったり調べたりして、専門家ほどではないが知識は蓄えてきたと思っている。 そうした経験を元に、今の時代へ情報発信させてもらっている。少々くどい言い回しが多いかも知れないが、お付き合いいただけるとありがたい。 連絡先:takegami@angel-halo.com (@を小文字にしてください)

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1 Response

  1. アバター画像 武上 より:

    自己レス。
    Ryzen7 5700Xを本命と書いてるが…全体的な事を考えたら、今回発表されたAMDの廉価版の5000シリーズは正直「遅すぎた」製品なので、今ならIntelのAlder Lake系の方がオススメ。
    理由は世代が新しいという事と、マルチスレッドスコアが断然良いから。消費電力で多少Ryzenが有利だけど、今更感しかないのが今回の廉価版5000シリーズなので、従来のZen2系Ryzenを使用していた人が同じSocket AM4を使っている環境でアップグレードするには向いているが、新規で組むなら選択肢に入ってこない製品だと感じる。
    Blog内では新規構成のような話で書いてるけど、実際にはアップグレードパスみたいなCPUなので、周辺環境を考えた上でのオススメって事なので、その点はご了承いただきたい。

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