ガソリン高騰の影響

 今、世界的に問題となっている原油高。
 日本国民もガソリン高騰の影響でかなり苦しい状況に追い込まれているが、依然としてその解決策が見えてきていない。
 これを政府の無策と採るか、それとも米国の不甲斐なさと採るかは人によって異なるだろうが、その両者に問題があるという人も多いだろう。
 依然としてサブプライムローンを発端にする経済不調を挽回できない米国とその影響をまともに受けた世界経済、そしてその中で赤字経済をより表面化させた日本。
 米国の弱体化によって勢いづいたのは中国経済と原油産出国経済であり、それが今の原油高につながっている。
 だが。
 この原油高の影響で見直されつつあるものもある。
 それがこのSegway Personal Transporterである。


 Segwayは、もともとSegway Human Transporterという名称で発表された。
 ヒューマントランスポーター、人を運ぶものという意味を持つジャイロ制御移動装置だ。
 最初は前進と後進のみ人の体重移動でコントロールし、左右へ曲がるにはハンドルを回して操作する必要があった。
 独特の操作方法であるため、多少の訓練が必要ではあったが、慣れればかなり快適と言われていた。
 しかし、その独特の操作方法と人が直接乗るというスタイルから、公道を走る事が米国ですら承認されず、普及は困難を極めていた。
 そのため、一部の工場内や施設内で運用されたり、また特定の機関(たとえば郵便)のみが公道への乗り入れを許可されていた。
 第二世代型になり、その名称はSegway Personal Transporter(以下Segway PTと略)と変化した。
 また、操作方法も左右へ曲がるという行動がハンドルを左右に倒すという方法となり、ハンドルグリップは完全固定式に変わった。つまり、感覚的に体重移動だけで全ての動作が可能になったワケである。
 米国ではいくつかの州が公道走行を許可しはじめ、そのほかにもドイツやカナダでも公認されつつあるそうだ。
 そして…この原油高による影響で、Segway PTは再び脚光を浴びる事になる。
 電気走行可能でしかもCO2を排出しないクリーンな動力源なのだから、環境問題にも優しく、あとは安全面が解決すれば現状の問題をほぼ解決できるアイテムとして認知されてきたからだ。
 公道を走るための最大の問題はその安全性であり、ここをクリアできれば、あとはコスト問題だけになる。
 コストは以前として高く、保険料を込みにしても95万円。ただしこれは普及して行くことで下げることができる事は容易に想像できる。
 しかし、依然として問題なのはその安全性。
 乗っている人の安全性だけでなく、周囲の安全も考慮しなければならないからだ。
 また乗っている人の安全性に直接響くのは、日本の公道事情。
 歩道の段差が多い日本において、Segway PTはどの車両区分になるのかが争点となる。
 私が思うに、Segway PTはやはり免許制にすべきではないかと思う。
 人ならざる動力が搭載されている以上、教育は必要だろうと思うし、自転車と同じというワケには行かないだろう。
 ただでさえ、最近は原付バイクの素行が問われている時代なのだから、扱いや公道を走るための教育は必須と考える。
 まぁ、日本の公道を走れるという前提の話だが。
 何はともあれ、原油高は原油を使わない方向性をより強調するきっかけとなった。
 Segway PTが公道を走れる日も、真剣にそのことを論議する事で、そう遠い日の話ではなくなるかもしれない。

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武上

18歳の時、人生の最大の選択ミスをしてしまい、いきついた場所として山梨県人となる。 その後、建設業に身を投じ、資格をいくつか取得するものの、結局自分の性格と合わない事を理由に上京。 上京後、世間で話題になりつつあったアニメ・ゲームを主体とする業界の人間となり、デジタルコンテンツ業界を含む数々の著名人と同じ土俵でマルチメディアな仕事をするに至る。 一見華やかなメディアの世界の、その闇の深さたるやハンパない事こそ世間に何となく知られてはいるが、業界人しか知らないその氷山の全体像を十分すぎるほど目の当たりにした後、家庭の事情で再び甲州へと帰還。 しかし、この帰還も人生の選択ミスだったかもしれないなぁ…と今では思うものの、時既に遅し。 今は地元の製造業を営む会社の総務・品質保証という地味ではあるものの堅実な職につき、いつか再びやってくるだろう夢の実現を信じて隠者的生活を送っている…ハズだったのだが、またしても周囲の事情で運命は波乱の様相を見せ始めた。 私の人生は一体どの方向を向いているというのだろうか? ちなみに筆者はPCとの付き合いはかなり長いと思っている。 古くはPC-8801 mk2 SR、X1 Turbo、X68000、FM-Towns、PC-9801シリーズ(互換機含む)、PowerMAC 9500等をリアルタイムで使い、その後は、Windows PCの自作機を中心に現在に続いている。 デジタルガジェットに関しては興味もある事から、その時代の時々において、いろいろ使ったり調べたりして、専門家ほどではないが知識は蓄えてきたと思っている。 そうした経験を元に、今の時代へ情報発信させてもらっている。少々くどい言い回しが多いかも知れないが、お付き合いいただけるとありがたい。 連絡先:takegami@angel-halo.com (@を小文字にしてください)

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5 Responses

  1. 士之 より:

    Segweyのりたいなぁ。
    一番いいのは原付と同じくらいの扱いなのかなと。
    軽車両にすると、基本、歩道と路側帯内の動きになるので多少危険かと。
    でも、本当のエコを考えたら、自転車が一番いいのかなと。
    でも、自転車も、価格の低下により、不法廃棄が増えて、エコとは言いづらいかも。
    これも、ヒューマンエラーだと思いますが。

  2. ruser より:

    私も導入されるなら免許制に賛成。原動機付いてるわけだし。
    でも、やはり一般への普及は難しいと思う。
    使うとしたら排気ガスが出ると困る密閉された倉庫内の移動用とかになりそうな気がする。
    少なくとも日本では。

  3. 武上 より:

    >士之さん
     自転車にしてしまうと、人力になってしまうので、便利さというところの技術が後退するわけですよ。
     だから、あくまでもテクノロジーで人を便利・快適にする方向で考えないと。
     もともとSegway PTはそういうところから発想されているのだからw
    >ruserさん
     この一般への普及が難しいものを普及させる事で、従来の概念を覆すことになるんですよ。
     今の道交法なんてかなり前のものをベースにしてるワケで、それすらも人が作り出した物。
     何も変更してはいけないというものでもないわけだし、逆にSegway PTのために道路を改修したっていいじゃない。
     人々が快適に暮らせる未来のために、エコで便利なアイテムを生かしていく事が必要なんじゃないかと思います。

  4. うめー より:

    コミケで警備員がビックサイトのトラックヤードを
    セグウェイに乗って移動してるのを見て
    自分も乗りたかったわぁ。
    意外とスピード出るのね~。

  5. 武上 より:

     第一世代型のSegway HTは時速30kmまで出せたそうです。
     第二世代型のSegway PTは時速20kmまで出るそうです。
     ただ、それらはあくまでもリミッターをかけているからであり、実際にはもっと速く走れるみたいです。
     ただ、あまり速くしすぎるとブレーキのかかりが遅くなるので、多分第二世代型は第一世代型より遅く設定されたんだと思います。
     千葉の湾岸地区の駐車場とかでもSegway PTで誘導してたりするみたいなので、そういう所のバイトでもすれば載るチャンスがあるかもしれませんよ?w

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