Fluid Motion Framesを動画で使う

NVIDIAのVSRと同じような事がやはりAMDでもできた。

2つの超解像

私が私用するビデオカードがAMDからNVIDIAに変わった事で、最初に残念だったのがFluid Motionが使えなくなる事だった。
GPUの主な仕事は、PCの映像を表示するという事だが、昨今はその能力の高さから普通に映像を表示するだけでなく、動画再生などに付加価値を与える事ができるなら、それも付加価値だと考え、それができなかったNVIDIA製ビデオカードよりもAMD製ビデオカードの方が優位性があると考えていた。
これでも昔、私はNVIDIA派だった。自作PCに使用するビデオカードはNVIDIA製のものが多く、AMDのRadeonで評判の良かったRadeon HD 4800シリーズが出ていた時ですら、私はNVIDIAのビデオカードを使用していたほどである。たしかその当時のNVIDIAのアーキテクチャはあまり評判のよくなかったFermi世代だったと思う。
ところがその後、AMDでGPUを動画再生支援に使用するFluid Motionが公開され、私の認識も変わってきた。いきなりNVIDIAからAMDへの鞍替えを考えなくも無かったが、最終的にVega世代でAMDビデオカードへと切替えた。
その後AMDのVega世代は長期にわたって使用されたが、ゲーム性能が上がらないという事から、RDNA世代へとアーキテクチャが進化した。RDNAでは構造が異なるためか、Fluid Motionが利用できない状態となった。
ある意味、私がAMDを選ぶ理由がなくなった事になる。
その後、使用しているモニタの関係からNVIDIAのビデオカードを使用する事になったが、そのNVIDIAからVSRの技術が公開され、それが外部フィルタという扱いで動画再生プレーヤーでも超解像が利用できるようになった。但し、Fluid Motionのようなフレームレート補間という機能ではなく、低解像度を高解像度化するというものだった。
超解像には2つのアプローチがある。
一つは解像度をアップサンプリングするというもの。そしてもう一つがフレームレート補間である。
どちらも可能であればそれに越した事はないが、NVIDIAのVSRは今の所高解像度へのアップサンプリングを機能としている。一方、AMDのFluid Motion Framesは、フレームレート補間を主の機能としているので、アプローチが異なるのが特徴である。
当初、Fluid Motion Framesはゲームでの利用でのみ使える機能のようだったが、特定のDLLを利用する事で動画再生でも利用可能になった。

アプローチの異なる2社だが、共にゲームだけでなく動画再生でも超解像が選べる事になったのは実に喜ばしい事である。

AMDが一歩リードか

今回、Fluid Motion Framesがプレビュー版から正式版として1月24日にリリースされる。
『FORSPOKEN』を使用したデモでフレームレートが3倍以上の伸びを見せるところを見ると、Fluid Motionからよりフレーム補間技術に磨きがかかった感じがする。
2社でドンドン争ってくれ!昨今はレイトレーシングとの組合せもあるため、より高度な事を行いながらそれらのフレーム補間をしているという意味で、その効果の高さは以前よりずっと高い事がわかるわけだが、さらに驚きなのは、NVIDIAのフレーム補間技術である「Flame Generation」はRTX 4000シリーズのみという制限があるが、AMDの「Fluid Motion Frames」は事実上全てのDirectX11およびDirectX12のゲームを対象に、RX 6000番台、7000番台、さらにノート用のRadeon 700Mにも対応と、その対応幅はより広いという事である。
NVIDIAが慎重になって対応機種を絞り込んでいるだけなのか、それともAMDが風呂敷を広げているだけなのかはわからないが、ユーザーにとって有りがたいのは、AMDの対応である事は言う迄も無い。
超解像効果、適用範囲、どちらを採っても今のところはAMDのFluid Motion Framesに軍配が上がると言い切ってもいいかもしれない。
NVIDIAのこれからの頑張りに期待したいところである。

VRAMがもっと重要になるような気がする

超解像技術が進んでいくと、それらで生成したフレーム情報や解像度情報はどこに格納されるのだろうか?
普通に考えるとビデオカード上のVRAMに一時格納されるように思うのだが、違うのだろうか?
以前から比べると、各ビデオカードのVRAM容量が徐々に増えてきているように思える。
上位モデルでは16GBは当たり前になりつつあるし、ミドルレンジでも16GB版が存在する場合もある。以前は8GBもあれば何とかなると言われたが、昨今は環境の高解像度化なども考えると、8GBでは足りなくなりつつあるな、と感じている。
というか、私の標準容量はもう16GBという認識がある。
今使用しているRTX 4070TiではVRAMは12GBだが、これでもギリギリという感覚がある。
この感覚は、ちょっと高望みしすぎの感覚なのだろうか?

PCの今までの常識が少しずつアップデートしてきているように思う。
AIが意欲的に使われる時代に入る事を考えれば、こうした変化があって然るべきであり、まだまだ変化は続いていくのかもしれない。

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武上

18歳の時、人生の最大の選択ミスをしてしまい、いきついた場所として山梨県人となる。 その後、建設業に身を投じ、資格をいくつか取得するものの、結局自分の性格と合わない事を理由に上京。 上京後、世間で話題になりつつあったアニメ・ゲームを主体とする業界の人間となり、デジタルコンテンツ業界を含む数々の著名人と同じ土俵でマルチメディアな仕事をするに至る。 一見華やかなメディアの世界の、その闇の深さたるやハンパない事こそ世間に何となく知られてはいるが、業界人しか知らないその氷山の全体像を十分すぎるほど目の当たりにした後、家庭の事情で再び甲州へと帰還。 しかし、この帰還も人生の選択ミスだったかもしれないなぁ…と今では思うものの、時既に遅し。 今は地元の製造業を営む会社の総務・品質保証という地味ではあるものの堅実な職につき、いつか再びやってくるだろう夢の実現を信じて隠者的生活を送っている…ハズだったのだが、またしても周囲の事情で運命は波乱の様相を見せ始めた。 私の人生は一体どの方向を向いているというのだろうか? ちなみに筆者はPCとの付き合いはかなり長いと思っている。 古くはPC-8801 mk2 SR、X1 Turbo、X68000、FM-Towns、PC-9801シリーズ(互換機含む)、PowerMAC 9500等をリアルタイムで使い、その後は、Windows PCの自作機を中心に現在に続いている。 デジタルガジェットに関しては興味もある事から、その時代の時々において、いろいろ使ったり調べたりして、専門家ほどではないが知識は蓄えてきたと思っている。 そうした経験を元に、今の時代へ情報発信させてもらっている。少々くどい言い回しが多いかも知れないが、お付き合いいただけるとありがたい。 連絡先:takegami@angel-halo.com (@を小文字にしてください)

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