スペースシャトルその後は?

 2010年にスペースシャトルが退役になる。
 宇宙まで打ち上げられ、そのまま滑空で大気圏突入、そのまま滑走路まで降りてくるという、一見効率の良さそうな構想がスペースシャトル計画だった。
 おそらく、計画当初は積載能力も高く、経済性に優れ、宇宙開発そのものをより画期的に向上させる計画だったハズだ。
 しかし、実際に運用してみるとそれがとんでもない見当違いだった事に。
 機体は1機あたり2,160億円、翼を持つ機体構造から打ち上げ時の機体制御が難しく、また大気圏突入に必要になる耐熱タイルを円筒形のロケットとは違う複雑な形状にものに貼り付けたりしなければならない技術の難しさ、等々技術的な問題を解決するために必要なコストが、より経済性を悪くしていた。
 しかもこの高額な機体を2機、打ち上げ中の爆発で失うという惨事も。
 この事故により、宇宙ステーション計画にも大きな遅れを生じる事になってしまった。
 結局、コストの問題や計画性の問題から、2010年に退役が決定したワケだが、私個人としてはスペースシャトル構想は実にもったいない計画だと思っている。


 スペースシャトルの最大のポイントは、経済性でも何でもなく、ただ再利用可能というその一点に尽きる。
 NASAの次期計画に予定されているアレスは通常の多段式ロケットだが、再利用可能な部分はスペースシャトルと比較して恐ろしく少ない。
 カプセル型の有人宇宙船を詰め込んでの打ち上げになるため、再利用可能な部分はその宇宙船…の一部ぐらいなのではないかと考える。
 大気圏突入する部分が非常に小さくできるため、その部分のコストをまるまる削減できる魅力があるのだろうが、結局宇宙に散蒔くデブリを大量に増やす事になる。
 もちろんスペースシャトルもデブリをかなり沢山出していると思う。
 燃料タンクや補助ロケットなどを切り離しながら打ち上げられる事を考えれば、デブリとは無関係ではいられない。
 だが、スペースシャトル計画を進めていく中で、そうした問題を解決していける可能性がないとも思えない。
 今でこそ宇宙ステーション計画が最優先という流れかもしれないが、そもそも人類が宇宙に出て行くための手段を改善しない事には、その先の計画もあったものではないと私は思う。
 まぁ、偉い学者さん達がいろいろと考えた末にアレスに変わっていくのだろうから、私如きの考えなどは全く以て間違っているのかもしれないが、地球の上では「エコだ、エコ」と騒いでいるワリに、これからの事にエコが反映されていないというのは、かなり間違っているように思えてならない。
 莫大なコストがスペースシャトル計画続行を許さなかったのかもしれないが、後々に考えてみたときに、この選択が正しかったのか?という事もあるのではないだろうか?
 で、そんな頓挫したスペースシャトル計画だが、米空軍はまだ諦めていない様子。
 ボーイング社が開発進行中の無人スペースプレーン“X-37B”の最初の軌道打ち上げテストが米空軍のバックアップで今年11月に行われるらしい。
 もともとX-37計画は、米空軍主導のX-40計画の成果をベースにNASAとボーイング社が始めたもの。現在NASAが手を引いた結果、米空軍の出資で継続されているそうだ。
 X-37Bは全長約8.4m、全幅約4.6mと非常に小型だが、米空軍は無人の小型スペースプレーンでもそれなりの使い道があると考えているのかもしれない。
 …なんか、頭の中にエースコンバット3~エレクトロスフィア~が浮かんできた(爆)

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武上

18歳の時、人生の最大の選択ミスをしてしまい、いきついた場所として山梨県人となる。 その後、建設業に身を投じ、資格をいくつか取得するものの、結局自分の性格と合わない事を理由に上京。 上京後、世間で話題になりつつあったアニメ・ゲームを主体とする業界の人間となり、デジタルコンテンツ業界を含む数々の著名人と同じ土俵でマルチメディアな仕事をするに至る。 一見華やかなメディアの世界の、その闇の深さたるやハンパない事こそ世間に何となく知られてはいるが、業界人しか知らないその氷山の全体像を十分すぎるほど目の当たりにした後、家庭の事情で再び甲州へと帰還。 しかし、この帰還も人生の選択ミスだったかもしれないなぁ…と今では思うものの、時既に遅し。 今は地元の製造業を営む会社の総務・品質保証という地味ではあるものの堅実な職につき、いつか再びやってくるだろう夢の実現を信じて隠者的生活を送っている…ハズだったのだが、またしても周囲の事情で運命は波乱の様相を見せ始めた。 私の人生は一体どの方向を向いているというのだろうか? ちなみに筆者はPCとの付き合いはかなり長いと思っている。 古くはPC-8801 mk2 SR、X1 Turbo、X68000、FM-Towns、PC-9801シリーズ(互換機含む)、PowerMAC 9500等をリアルタイムで使い、その後は、Windows PCの自作機を中心に現在に続いている。 デジタルガジェットに関しては興味もある事から、その時代の時々において、いろいろ使ったり調べたりして、専門家ほどではないが知識は蓄えてきたと思っている。 そうした経験を元に、今の時代へ情報発信させてもらっている。少々くどい言い回しが多いかも知れないが、お付き合いいただけるとありがたい。 連絡先:takegami@angel-halo.com (@を小文字にしてください)

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2 Responses

  1. 士之 より:

    アニメの世界観ででてくるものって、結構実現している部分は
    多いと思いますが、宇宙関係だけは意外に実現していないですね。
    この調子では、ワープはおろか、小型飛行機での大気圏突破などもまだ夢のまた夢かも。
    まぁ、今の人類が宇宙空間を自在に航行できるようになったとしても、ろくなことをしないような気がしますが、次の大きな進歩はいつになるんでしょうかね?

  2. 武上 より:

     アニメの世界で扱われる宇宙というものは、いろいろなものを全く考慮されずに描かれている事が多々あって、それを考慮した途端にアニメとして成立しないケースも多いと思います。
     特に無視されているのが無重力だという事。
     実際に宙間を活動するとなると、あんな動きはできませんw
     それ故に実際に実現できない事が多々あるわけです。
     それにワープという概念もそう。
     理論だけで言えば多分成立するのかもしれないけど、それを成立させるために必要な条件が揃わない。
     物理的法則を無視しているものを実現するには、物理的法則を絶対的なものでなくするような発明が必要でしょう。
     一ヶ月ほど前だったか、Blogにも書いたけど東京大学で富野監督が招待されてセッションやってたとき、スペースコロニーは現実的じゃないと言い出したのが富野監督で、スペースコロニーを肯定的に捉えているのが学者のほうだったという酷いオチがあったけど、多分富野監督の方が現実をより真剣に見据えているように思う。
     宇宙での活動というものが、アニメのようには行かないという現実を覆すには、まだ人類の知恵では無理なんだろうね。
     かなり前進してるとは思うけど。
     まず月や火星に進出する事ができた段階で大きな進歩がうまれるんじゃないかな。
     大気圏外で作られるのもがその進歩を支える…と私は思います。

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